「賢治先生がやってきた」(新風舎文庫)紹介

2006年11月、「賢治先生がやってきた」新風舎文庫から 自費出版しました。
脚本の他に短編小説を載せています。
収録作品は次のとおりです。
養護学校を舞台に、障害の受け入れをテーマにした 『受容』 、 生徒たちが醸し出すふしぎな時間感覚を描いた 『百年』 、 恋の不可能を問いかける 『綾の鼓』 など、小説三編。
 宮沢賢治が養護学校の先生に、そんな想定の劇 『賢治先生がやってきた』 、 また生徒たちをざしきぼっこになぞらえた 『ぼくたちはざしきぼっこ』 広島のピカを見るという、原爆を扱った劇 (二人芝居)『地球でクラムボンが二度ひかったよ』 など、 三本の脚本。
『賢治先生がやってきた』と『ぼくたちはざしきぼっこ』は、これまでに、高等養護学校や小学校、中学校、あるいは、 アメリカの日本人学校等で 上演されてきました。一方 『地球でクラムボンが二度ひかったよ』は、内容のむずかしさもあってか なかなか光を当ててもらえなくて、 はがゆい思いでいたのですが、 ようやく08年に北海道の、10年に岡山県の、それぞれ高校の演劇部によって舞台にかけられました。
しかし、この(二人芝居)『地球でクラムボンが二度ひかったよ』は、厳しく批判もされました。
自分の演出で上演したこともなく内容が十分に吟味されていなかったのです。
それで一度は上梓した作品ですが、書き直すことにしました。
批判されたところや自身でも納得できない箇所をどうしてゆくか、 推敲を重ねましたがどうしてもうまくいきません。しかたなく脚本を非公開にして、 改作しかないということで、どうしても矛盾してくる箇所を削って(改作版)にすることにしました。 (改作版)は賢治ほか賢治ファミリー数人プラスアインシュタインが登場する劇で、それなりに完結していて、 高千穂中学校で上演されました。脚本はこちらです。
「地球でクラムボンが二度ひかったよ」(改作版)
(二人芝居)『地球でクラムボンが二度ひかったよ』の方は、非公開のままで 放置してきたのですが、今年になってあるきっかけがあり、 二人芝居をこのまま放棄するのか、それとももう一度推敲に挑戦するのかといった選択を迫られました。 悩みましたが、最初の思いつき、賢治が地球からとどいた原爆の閃光を今日目にするという最初のイメージを 捨てるのがおしくて、もう一度挑戦してみることにしました。最終稿を目指して書き直すのなら今しかないという思いもありました。
その結果がいま公開している(二人芝居)『地球でクラムボンが二度ひかったよ』です。長い道のりでしたが、大々的に手を入れて、 なかなか超えられなかった矛盾をどうにかクリアできたのではないかと考えています。
賢治の銀河鉄道の幻想はそんなに気にならないという方ならば、 許容していただける程度にはなったのではないかと考えています。ということで、また公開に踏み切りました。
よろしければ、ホームページの(二人芝居)『地球でクラムボンが二度ひかったよ』 (最終稿)も一度覗いてみてください。


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