「うずのしゅげ通信」

 2016年8月号
【近つ飛鳥博物館、河南町、太子町百景】
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2016.8.1
新憲法官報号外

紙焼けの憲法官報涼に伏す

新憲法の官報号外昼寝覚

以前にも書きましたが、家に日本国憲法の官報号外(昭和二十一年十一月三日)があります。紙魚が喰ったように破れ紙焼けしています。もろくなって今にも崩れそうですが、この日本国憲法、私としては、 この憲法に育まれ守られてきたという思いがあります。
ある日、その官報を枕元に伏せて昼寝をする。そして、昼寝から覚めたら、何と、その憲法の 官報号外があたらしい平成の新憲法の官報号外に代わっていたとしたら……そういうことだってありえると、そんな危惧を詠んだつもりなのですが。


2016.8.1
フェイスブック
【7月4日】
今日の拙句です。

息を止めてと造影剤の闇暑し

竪笛の音漏れ来たり立葵

咲きのぼる順次よろしき立葵

わが一生(ひとよ)のひとつ試練や雨蛍

戒名はフォトン(光子)の由来夏星座

帰省子の蹠白しうつ伏せ寝

一句目、病院の検査が続いて。
四句目、昨日の「折々のことば」にAll my trials,Lord,soon be over.が紹介されていました。
五句目、現代の科学では、光は波でもあり粒でもあるのですが、フォトン(光子)というのは、粒と考えたときの光の粒子のこと。

今日は立葵の句。

門に待つ母立葵より小さし 岸風三婁

この句、子を待つ母の気持(おそらく)、母を思う子の気持がそこはかとなく感じ取れて心に残ります。 写真は庭のゼフィランサス。

【7月9日】
今日の拙句です。

胃カメラの喉元すぎる小暑かな

胃壁染めがくあじさいの花の幻

十薬やグランド・ゼロを花の蘂

悠然と夏河の鯉エノラ・ゲイ

遠き日のわれを見し夜の鰯雲

一昨日は胃の内視鏡検査。病院の内庭に、盛りを過ぎた紫陽花の花が咲き残っています。ボランティアさんによって手入れされているようです。
去年も検査を受けていて、そのときの句です。

病院の鬱の廊下や濃紫陽花

腸(はらわた)が紫陽花色に染まりけり

ポリープの貌と云ふもの濃紫陽花

今年は、あらたに二句、詠んでみました。
二句目、原民喜の碑文の「花の幻」より。
「遠き日の石に刻み 砂に影おち 崩れ墜つ 天地のまなか 一輪の花の幻」 (原民喜)
三句目、数年は草も生えないと言われたヒロシマのグランド・ゼロにまず生えてきたのは十薬だったそうです。
五句目、高校の卒業写真を見て。
七夕を過ぎた昨日、病院のロビーにはまだ大きな笹飾りが置かれたまま。患者さん本人やご家族の短冊がたくさん飾られています。読むのを躊躇していた妻ですが、私の検査を待っている間、覗いてみたようで次のような短冊を見つけたそうです。
「こんどこそ認知症の試験に合格しますように」

内容は重いものですが、このユーモアには二人でほっと一息。

【7月21日】

今日の拙句です。

宣告をさらりと受けし蟻地獄

医の庭にけふの芙蓉の一期かな

吾が生も既に蹉?たり白芙蓉

病床に己曝して昼蛍

一昨日に引き続き近詠です。ちょっと深刻を装って。
三句目、徒然草一一二段に、「吾が生(しゃう)すでに蹉?たり」とあります。「蹉?たり」とは「落ちぶれること。不遇なこと。また,そのさま。」(大辞林)。
四句目、検査の病床。
これらの句、さらに詠み直してゆくつもりです。

ということで、今日は芙蓉の句。

芙蓉咲く父に病変ありし日も  水原春郎


2016.8.1
俳句

7月にフェイスブックに投稿した句です。

息を止めてと造影剤の闇暑し

竪笛の音漏れ来たり立葵

咲きのぼる順次よろしき立葵

わが一生(ひとよ)のひとつ試練や雨蛍

戒名はフォトン(光子)の由来夏星座

帰省子の蹠白しうつ伏せ寝

胃カメラの喉元すぎる小暑かな

胃壁染めがくあじさいの花の幻

十薬やグランド・ゼロを花の蘂

悠然と夏河の鯉エノラ・ゲイ

遠き日のわれを見し夜の鰯雲

香水やすでに忘れし母の声

帰省子の蹠白しうつ伏せ寝

羅の襟首立ちし師の気息

道をしへいづれが遊び心かな

打水に手負いの蜂も流れけり

紙魚喰ひし憲法号外昼寝覚

凌霄花百の科白を覚えし娘

心経に初蝉の声老いの声

迷い蝉放ち闇などなき夜闇(やあん)

蕨餅妻の手にして透きゆけり

浜木綿の豊かに咲きて尋ねらる

鱧抓み腹腔鏡の話など

紙焼けの憲法官報涼に伏す

新憲法の官報号外昼寝覚

別嬪さんのころはモノクロ酔芙蓉

八年を兵たりし父新豆腐

桔梗(きちかう)や兵たりしこと一代(ひとよ)もの

新涼や手の風で消すお灯明

あくる日の西瓜提灯踏み潰す

声失せし妣の項の土用灸

人来る遺稿の縁(えにし)蝉時雨

宣告のさあれ仏間の昼寝覚

わが庭の蝉あがく音夜に間遠

手負いの目撮らずに離る青葉闇

宣告をさらりと受けし蟻地獄

医の庭にけふの芙蓉の一期かな

吾が生も既に蹉?たり白芙蓉

病床に己曝して昼蛍



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