「うずのしゅげ通信」

 2018年8月号
【近つ飛鳥博物館、河南町、太子町百景】
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2018.8.1
ジョン・レノン「Imagine」
この記事は、「うずのしゅげ通信」2005.11.1号に掲載したものです。先月号に載せた「ぼくたちに赤紙が来た」上演のエピソードの一つです。

「ジョン・レノン「Imagine」

先の文章でも触れた今年の文化祭の劇の最後に生徒たちが歌ったのが ジョン・レノンの「Imagine」、劇の内容にもぴったりということで、 採用したのですが、そのために、「Imagine」の訳詞、歌える訳を考えざるをえなくなり、 四苦八苦しました。結果できあがったのが、下の試訳です。(実際に歌ったものからは、 さらにすこし改訂してあります。)

Imagine

想いみてごらん
いくさもなく
国のために
死ぬこともない
誰もがいきいきと今を生きてる
夢ではなく
ぼくらの道に
あなたが寄り添うなら
世界がひとつに

想いみてごらん
いじめもなく
したいことを
あきらめないで
誰もがいきいきと今を生きてる
夢ではなく
ぼくらの道に
あなたが寄り添うなら
世界がひとつに


単に意味の翻訳ではなく、歌える歌詞になっているかどうかが問題でした。
もっとも悩んだのは、

夢ではなく
ぼくらの道に
あなたが寄り添うなら
世界がひとつに

のところです。
ここの箇所、元の歌詞はつぎのようになっています。

You may say I’m a dreamer
But I’m not the only one
I hope someday you’ll join us
And the world will be one.

「You may」は「夢」に通じていているので、「夢ではなく」としました。 つぎの行は、「われら」とするか「ぼくら」とするかで迷いました。 どちらにしろ複数形で、「not the only one」(ひとりじゃない)の意味を 込めています。「われら」は、口語にはなじまなような気がするのですが、原文には近い。 結局、決め手は、「But」の発音が「Boku」と響きあうというこじつけで、 「ぼくら」に落ち着きました。
そんなふうに歌詞の訳をあれこれ考えている過程で、 あらためてジョン・レノンの歌の持つメッセージのすばらしさを痛感させられたのです。
歌える歌詞ということなので、口ずさんでいただけたらこれほど幸せなことはありません。
追伸
実はもう一曲、「たこやきのうた」というのを作ったのです。ただ、時間の関係で歌う場面が カットされてしまったので、使われることなく終わったのです。ちょっと残念なので、 ここに収録しておきます。
曲は、ジョン・レノンの「Power to the people」のリフレインに 乗せて歌います。

「たこやきのうた」

 たこやきピープー
 たこやきパーティー

 たこやき 一つ
 たこやき 二つ
 たこやき 三つ
 たこやき 四つ
 たこやき 五つ
 たこやき 六つ

 さんびゃくえん
 ありーがとう

(この歌詞を延々繰り返します。)

もし、おもしろいと思って歌っていただけるならありがたいことです。」


2018.8.1
フェイスブック

〈7月10日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

晩年のすでにさびしさ花氷

巣が転げ炎天に蜂猛りをり

短めに経切り上げて夜の蝉

  (養護学校の職場実習)
扇風機流れ作業に酔ひし子に

滝壺に邪鬼踏むごとき水泡(みなわ)沸く

先日蜂に腕を刺されました。調べると近くに蜂の巣を発見、知らないで近寄って刺激していたのですね。
四句目、養護学校に勤めていた時、生徒の職場実習に付き添うことがありました。工場にはいろんな流れ作業がありますが、製品が流れるラインをじっと見つめ続けると酔うことがあるようです。
ということで今日は花氷の句。

大いなる柱の陰の花氷  高浜虚子

大いなる柱とはどのような柱なのでしょうか。昔の百貨店には、そのような柱があったような気もしますが。深読みを誘うような趣もあります。


〈7月17日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

かなかなやゆふべの死者とすれ違ふ

さからはず溽暑老人力矯めて

空蝉や命の爪をなほ立つる

  (義兄逝く 二句)
脈消えてほうたるの灯に義兄(あに)逝けり

飲みさしのビール死者置き席を立つ

近つ飛鳥古墳公園で、一昨日は夕方、昨日は朝、蜩を聞きました。フェイスブックへの投稿を調べると、去年もちょうど今頃蜩を聞いています。風土記の丘は、私達の村の謂わば里山、死者の霊がとどまると言われている里山です。ですから、そこで死者の霊とすれ違ってもおかしくありません。カナカナカナと高い金属音から音が低くなり遠ざかる鳴き声に、そんなふうな響きを聞いてしまったのです。ちょうど電車がすれ違うときのドップラー効果のような。
蜩は秋の季語ですが。嘱目ということで詠んでみました。
二句目、老人力という言葉、一時流行っておもしろがっていたのですが、 いまでも通じるものなのかどうか。
ということで、今日は蜩の句。

ひぐらしを聴かである日は阿修羅哉 加藤楸邨

蜩の声は癒やしの力を秘めているのかもしれませんね。」

2018.7.1
俳句

〈7月のフェイスブックに投稿した拙句です。〉


  (養護学校にて)
サングラスの目を覗かるる教師かな

鮎焼くや化粧の塩も薄うして

初蝉や逝くものに耳遅るると

谷崎源氏そろはぬ母の曝書かな

  (河内弘川寺)
八百年遠忌の標(しるべ)夕焼けて

山小屋に缶のポタージュ御来光

芸大の助手仮住まひ青葡萄

甲斐犬が男日傘を引いてゆく

キャンプファイア手話コーラスの影深く

サングラス前川清のレット・イット・ビー

木の橋に水迫る夢梅雨出水

頓首でしめる百歳の文凌霄花

晩年のすでにさびしさ花氷

巣が転げ炎天に蜂猛りをり

短めに経切り上げて夜の蝉

  (養護学校の職場実習)
扇風機流れ作業に酔ひし子に

滝壺に邪鬼踏むごとき水泡(みなわ)沸く

かなかなやゆふべの死者とすれ違ふ

さからはず溽暑老人力矯めて

空蝉や命の爪をなほ立つる

  (義兄逝く 二句)
脈消えてほうたるの灯に義兄(あに)逝けり

飲みさしのビール死者置き席を立つ

天神祭二日続けて昼の月

金魚玉落つる刹那の無重力

  (近つ飛鳥に住まひして)
日雷遠つ飛鳥に謀反かな

アイスキャンデー滅多に買はぬ母なりき

孑孑やオーフラ・ハーノイ手書きの譜

南円堂に煙たき邪鬼の昼寝覚

黒い雨のメッシュデータや大向日葵

一村が夕焼の照り帰るかな

たまさかに父の風鈴部屋に鳴る

  (教え子に風を恐るる子。でも彼は笛が得意でした)

草笛や顔吹く風を恐るる子


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