「うずのしゅげ通信」

 2020年3月号
【近つ飛鳥博物館、河南町、太子町百景】
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2020.3.1
飛び恥

2月23日にフェイスブックに投稿した文章です。

逃げ水や飛び恥さらさらつもりなし

飛び恥ということばをはじめて聞いたとき、なんともふしぎな違和感がありました。 飛行機よりも環境に優しい鉄道とか船での移動を推奨する考え方のようですが、 そういった考え方を恥ということばと結びつけて生き方に添わせようとしているのでしょうか。 スウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんが提唱しているものですが、 若者たちのあいだに徐々に受け入れられているようにも思われます。
これからどうなってゆくのか、楽しみです。
上掲の句はいろんな解釈ができると思いますが、私個人としては、グレタ・トゥーンベリさんを応援したい気持ちが強くあります。 彼女が言っていることは、若者の将来にかかわることであり、そのことを憤って心からの提案をしているということであり、 それがこれからどのように受け入れられ発展してゆくのか、期待したいと思います。


2020.3.1
フェイスブック

〈2020年2月4日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。
  (節分に氏神さまへのお供え)
年豆のおひねり賽銭箱の上

貫入の器につまむ年の豆

検査日が二ヶ月延びて春立ちぬ

蕗味噌や人はすなはち悲の器

貫入の器の緑蕗の味噌

雪催ひアウシュビッツが降ってくる

私が幼い頃、節分の夕方、家族分の年豆のおひねりを氏神様にお供えにいったことを思い出しました。
六句目、アウシュビッツ強制収容所の解放75周年の記念式典で元収容者が述べた言葉。」

〈2020年2月14日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

遺影に白花バレンタインの赤リボン

冬の星回して夜の観覧車

九十九折(つづれおり)に迷ふ昼月春立ちぬ

薄氷を踏めばウィスパーボイスかな

仏壇の運ばれてゆく雪催

二上山(ふたかみ)のボケとツッコミ山笑ふ

下萌や赤子のあくび伸びきらず

今日は雨催いですが、近つ飛鳥博物館の周りを少し散歩してきました。梅が咲き始めて、休日だけではなく、 ウィークデーでも訪うひとが増えているのですが、今日は午後から雨という予報もあってか、 人が少なく、野鳥を撮っている人以外は数えるほどでした。バスを連ねて訪れる外国からのお客さんも、 コロナウィルスの影響があるためか減っているように思います。
三句目、立春の日、散歩の途中昼の月を見つけました。道を曲がると月はどこかに消えてしまいます。 「あそこにあった」とやっと見つけて、また曲がるとどこかに隠れてしまいます。写真は駐車場で最後に見送ってくれた昼の月。
そのことを詠んで句会に出したのが、次の句。

立春や曲がれば失せる昼の月

しかし、結局だれにもとってもらえませんでした。再挑戦です。」


2020.3.1
俳句


〈2020年2月のフェイスブックに投稿した拙句です。〉

  (近つ飛鳥博物館)
初雪のおろそかにけふ睦月尽

雪挟む鳥撮るかたへの鳥図鑑

天地揃えの句集さくさく霜柱

中華街に獅子の崩るる寒さかな

  (京都からも遅い初雪の便り)
睦月尽京の初雪おろそかに

  (節分に氏神さまへのお供え)
年豆のおひねり賽銭箱の上

貫入の器につまむ年の豆

検査日が二ヶ月延びて春立ちぬ

蕗味噌や人はすなはち悲の器

貫入の器の緑蕗の味噌

雪催ひアウシュビッツが降ってくる

立春や曲がれば失せる昼の月

青鮫と詠みし兜太や下萌ゆる

蕗の薹あまりににがし腎一つ

  (道明寺の試みの観音)
試し彫りの観音ゆかし梅薫る

建国記念日霙となりし暗峠(くらがりとうげ)

花の端境埋めるに小さき犬ふぐり

春三日月雲形定規妻知らず

遺影に白花バレンタインの赤リボン

冬の星回して夜の観覧車

九十九折(つづれおり)に迷ふ昼月春立ちぬ

薄氷を踏めばウィスパーボイスかな

仏壇の運ばれてゆく雪催

二上山(ふたかみ)のボケとツッコミ山笑ふ

下萌や赤子のあくび伸びきらず

鎖樋新しくして雨水かな

  (術後)
身のうちの仔細わからず冴返る

薄氷を貫く葦の舫ひかな

春の砲列狙ふ梢の瑠璃鶲

  (庭の古梅)
おろそかに古梅の蕾大きかり

逃げ水や飛び恥さらさらつもりなし

  (叡福寺から當麻寺への道標、二句)
太子道(たいしみち)右はたゑまに春の泥

右たゑまそれより読めぬ春の泥

微熱ある手に菜の花の萎るれば

  (通学路に辛夷の木)
花咲けば真白の子らや辛夷の芽

  (得生寺の丈六阿弥陀仏)
丈六の脇侍は名のみ春浅し

  (近つ飛鳥博物館)
神獣鏡のジグソーパズル薄氷

恋猫や白石加代子の声音もて

春霰たちまち消えて狐雨

  (新型コロナウィルスで突然の休校)
予行が本番卒業式が不意に来て

庭に伏せし母の水瓶蕗の薹

指差していまはの父は蝶追ふか



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