「うずのしゅげ通信」

 2020年4月号
【近つ飛鳥博物館、河南町、太子町百景】
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2020.4.1
その頃ほひ

3月19日にフェイスブックに投稿した句の一部と文章です。

  (3月11日午後2時46分過ぎ、被災各地に虹)
311の虹おのづからその頃ほひ

東日本大震災から9年目(十回忌)の3月11日、地震が起きた午後2時46分過ぎに、 被災した東北の各地で虹が見られたと、ニュース映像に海にかかる虹が映し出されていました。
「おのづからその頃ほひ」というのは、地震が起きた時刻の「その頃ほひ」であり、 また大震災から9年経った「その頃ほひ」という意味でもあります。心の準備ができた「その頃ほひ」に、 その現象は忽然と出現するのですから、ふしぎとしか言いようがありませんね。
でも、私の経験に照らしてもそういったことはあると思うのです。


3月30日にフェイスブックに投稿した句の一部と文章です。

  (外出を控えるように要請のあった日曜日、東京に積雪)
桜隠しおのづからその頃ほひ

昨日(3.29)東京に積雪、一人ひとりの自粛によってはまだ感染収束ののぞみがあることを暗示するかのように。 暗い句が多い中、すこしでも明るい句を、と考えました。
結果、中七下五が、先日の311の虹を詠んだ句とほぼ同じものになりました。あの虹のことを知ったときと同じような思いで、 この桜隠し、春の雪を詠もうとすると、そんなふうな表現になったのです。
いまはただオーバーシュートしないことを祈るばかりです。


2020.4.1
フェイスブック

〈2020年3月9日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

  (3.11 遺されたものは悔むのみ)
花白ければ白を悔みて花辛夷

  (子どもの頃の遊び)
つなぎ目の当てっこ土筆菩薩かな

身の内に深宇宙(しんうちゅう)あり鬼薊

非常事態宣言あやふし目刺焼く

折返す峠の初音風かはる

いつも散歩している近つ飛鳥博物館の周辺の道、最近鶯がしきりに鳴いています。 辛夷も咲き始めていて、自然界で春は着実に歩を進めているのですが、 一方、新型コロナウィルスの感染、これからどうなってゆくのでしょうか。
今日の新聞に「流行ピーク時の患者数の都道府県別推計」が載っていました。厚労省の計算式にもとづいたものだそうです。 大阪府の場合、一日あたりの外来受診が29700人、入院が15100人、重症が510人となっています。ローカルにでも 、たとえば関西で本格的な流行が起きたとき、大阪の病院は、ピーク時のことではあれ、これだけの患者に対応できるのでしょうか。 はやく収束に向かうことを祈るしかありませんね。」


2020.4.1
俳句


〈2020年3月のフェイスブックに投稿した拙句です。〉

雛の壇見つめ見られて嬰(やや)揺らぐ

  (涅槃図に百足蛇等々、二句)
啓蟄や涅槃図入りは何々ぞ

蛇穴を出でて涅槃に馳せゆけり

  (子どものころの水たまりの薄氷)
タイムスリップの滑り心地や薄氷

  (MBSミント「学校に行こッ!」)
灘中高の図書室ゆかし春炬燵

  (猪の柵)
有刺鉄線たんぽぽ一家分かちけり

  (3.11 遺されたものは悔むのみ)
花白ければ白を悔みて花辛夷

  (子どもの頃の遊び)
つなぎ目の当てっこ土筆菩薩かな

身の内に深宇宙(しんうちゅう)あり鬼薊

非常事態宣言にがし目刺焼く

折返す峠の初音風かはる

  (聖林寺の十一面観音)
聖林寺観音甲高(こうだか)春埃

一生(ひとよ)遅れて村を出づるか黄砂せり

冬季鬱歳時記になし花菜道

  (ベテルギウスが超新星爆発をすれば昼でも見えるらしい)
春うらら滅びかそけき昼の星

真剣の一振り遥か春の雷

  (3月11日午後2時46分過ぎ、被災各地に虹)
311の虹おのづからその頃ほひ

不意の霰手のひらに跳ね紫木蓮

  (白木蓮の並木)
ゆきゆきて白木蓮の華やがず

蛍烏賊目玉一つが舌の先

  (入院したときのリストバンド)
バーコードと化して点滴おぼろの夜

  (津久井やまゆり園事件)
白木蓮慈悲の死といふ無慈悲かな

屈託や今年の花は白まさる

掃き寄せて花屑揉めば鳩出づる

雲形定規で引くたんぽぽの設計図

生死(しやうじ)にも生き死にの率木瓜の花

  (聖林寺十一面観音の点検)
蓮弁をはづし茎立つ観世音

  (外出を控えるように要請のあった日曜日、東京に積雪)
桜隠しおのづからその頃ほひ

  (西行塚)
山桜丈高ければ暇(ひま)を散り

分かる価値分からぬ価値や入学ス

水底の波影(なみかげ)ゆかず水温む

  (枝雀の笑い理論)
緊張の緩和と言へりチューリップ



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