「うずのしゅげ通信」

 2021年4月号
【近つ飛鳥博物館、河南町、太子町百景】
今月の特集

3.11を詠む

フェイスブック

俳句

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2021.4.1
3.11を詠む

〈2021年3月にフェイスブックに投稿した3.11を詠んだ句です。〉

かなしみや十年(ととせ)の末(うれ)の葉芽花芽

セシウムの吹雪く三月うつつかな

メルトダウンの日もけぶりたち杉花粉

春の黙祷抱かれて背なをつかむ手よ

セシウムはこんなにほひか春の雪

  (福島の避難者のつぶやき)
みな泣き止めば泣き止むしかない鳥雲に

一句目、十五年前に家族を亡くしました。そのことを踏まえて、 ご家族を亡くされた方に自分なりに心を寄り添わせて詠んだものです。
二句目、三句目は、津波に伴う原発事故をテーマにしました。
四句目、母親に抱かれた幼子が、黙祷のとき海の方に体をむけながら、母の背中に回した左手で背中を強く掴んでいるのを テレビで見かけて、その光景を詠んだものです。
五句目、福島の避難者のつぶやきを耳にして詠み込みました。
3,11を詠むといっても、難しいところがあり、拙いながらも自分に詠めるところを精一杯詠んだつもりです。


2021.4.1
フェイスブック

〈2021年3月1日にフェイスブックに投稿したものです。〉

今日の拙句です。

ひとりゐのおすわりゆれて雛のまへ

ふらここや掌に錆にほふまで降りず

しゃぼんだまにハグしてゆくもおぼつかな

恐竜の足跡化石春の泥

たんぽぽの半欠けの絮半欠けの夢

ガードレールに斜め腕立て菜花の香

最初の三句は孫の幼い頃を詠んだ句。
一句、三句は、以前に詠んだ句の表現を少し推敲したものです。
私の場合、自分のこれまでの生活の細部をあらためて掘り出すようにして詠んだ句がほとんどです。
こんなふうに詠んでいると、やがて思い出すことも尽きてしまうのではないかと恐れるのですが、 そんなことはまったくなくて、むしろ忘れていた細部までがあらたな輝きをもってよみがえってくるのです。
星空をじっと眺めていると、埋もれていた星がじんわりと浮き出してくるように。
こういったあたらしい発見は俳句のおかげです。




2021.4.1
俳句


〈2021年2月のフェイスブックに投稿した拙句です。〉

ひとりゐのおすわりゆれて雛のまへ

ふらここや掌に錆にほふまで降りず

しゃぼんだまにハグしてゆくもおぼつかな

恐竜の足跡化石春の泥

たんぽぽの半欠けの絮半欠けの夢

ガードレールに斜め腕立て菜花の香

  (二割がたはそういう手合)
啓蟄やとりあへず顔出しておく

花ミモザ邪険に払ひ車椅子

木蓮莟む己がじし指立つるごと

鍬立て置きて人はいづこに鳥雲に

  (3.11から十年、三句)<
かなしみや十年(ととせ)の末(うれ)の葉芽花芽

セシウムの吹雪く三月うつつかな

メルトダウンの日もけぶりたち杉花粉

火の鏃で上五はあれや牡丹の芽

紙ふうせんと紙の蛇笛一つづつ

風音をもぐらも聞けや風車

  (3.11三句)
春の黙祷抱かれて背なをつかむ手よ

セシウムはこんなにほひか春の雪

  (福島の避難者のつぶやき)
みな泣き止めば泣き止むしかない鳥雲に

落椿暗渠の口でためらはず

追ひ詰められて抑論など木瓜の花

  (幼稚園児の遠足の列)
「お弁当もってきた?」と口々に訊く遠足子

牡丹の芽火矢のごとき句詠めとこそ

村を出づるも百年遅れ木瓜の花

蒲公英や呆(ほう)けに向かひ丈高し

桜吹雪くや半減期の今その渦中

  (霧箱の実験)
たとふれば放射線跡ゆきやなぎ

  (お彼岸に墓参して)
つちふるや父の名の朱も消ゆるのみ

葱坊主子の作文に捕虜の父

二上山(ふたかみ)を隠さふべしや山桜

躙(にじ)ると云ひし杣人の巖すみれ草

エンドレスに鴉鳴かせて万愚節

  (歌ってほしいわけではないが)
仰げば尊し歌ひ歌はれずわが一生

井戸水がある日冷たし水温む

とは云ふものの蓮如名号朧なり

  (近つ飛鳥博物館の廊下)
羨道になぞらふ廊下鶯鳴くも

  (フェイスシールドをして)
歌会始三月のこゑくぐもりて

  (以前に見た綸旨を思い出して)
天気如此(てんきかくのごとし)と側医葱坊主


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