「うずのしゅげ通信」

 2021年11月号
【近つ飛鳥博物館、河南町、太子町百景】
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2021.11.1
上演

〈2021年10月27日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

  (近つ飛鳥風土記の丘)
蝦夷塚(えみしづか)何年ものの木の実かな

色なき風にはだらもみじの花水木

霜降(そうこう)や遺影の母のほつれ髪

  (現役の頃、高等養護学校にて)
紅葉かつ散るビンボーを教へしことも

夕焼の眺めよき家茜月

  (高校のフェンス越しの声)
マスク手にエール繊月震はせて

インタビューにあらぬ方見て神無月

近つ飛鳥博物館に至る道路に沿った尾根道に蝦夷塚があります。
最近は、この尾根道も手入れがなされていないので行きにくくなっていますが、 もともとは一須賀古墳群に連なる古墳の一つで、蘇我蝦夷の墓という言い伝えもあります。
前の平地にはまるで散り敷いたようにどんぐりがいっぱい。
六句目、いつも散歩する高校の外周道路で、夕方、不意に男子生徒のエールが聞こえてきました。 運動会を控えて、帰る間際の外での声出しだったのでしょうか。この二年ほどはコロナの自粛があり、 このような野太い声を聞いたことがなかったので、胸を打たれました。」

【追伸】
六句にもあるように、コロナが教育にもいろんな影響を及ぼしています。
学校における劇の上演なども様々な制約があって、難しくなっているようです。
そんな中で、先日、岡山県の高梁市立有漢中学校から『風船爆弾』の上演申込みのメールをいただきました。 今年の10月16日(土)に行われる文化祭での上演ということでした。
現在、コロナの状況が比較的収まってきていることで、文化祭も制約を遵守して実施できるようになったのかもしれません。

この『賢治先生がやってきた』にも、コロナ以前には毎年5件くらいの上演申し込みがあったのですが、昨年は2件、今年は 今回の1件だけでした。(ということで、現在までの上演数は53になりました。)
コロナ後の演劇教育というものを考えた時、ともすると悲観的になってしまいます。
しかし、先日の和歌山で開催された高校演劇祭の全国大会決勝をNHKで観て、悲観が吹っ飛んでしまいました。 コロナ禍の現状をテーマにした劇もあって、生徒たちはコロナに抑え込まれているだけではなく、 そこから新しいテーマを見つけ出しているのです。また、セクシュアル-マイノリティーを扱った劇もあり、 彼らの積極的な取り組みは、われわれに希望を抱かせるものでした。さらなる展開に期待してゆきたいと思います。


2021.11.1
フェイスブック

〈2021年10月18日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

  (「植えるに時があり、抜くに時がある」コヘレトの言葉)
子規の一世(ひとよ)の春夏秋冬牛蒡抜く

かの丘は裸木(らぼく)と聞きし桜紅葉

三日月の零るる角度残る虫

越し来し部屋に鳴くやいづれの残る虫

権利書に古本匂ふ秋の夜

  (ブラジル往還)
時を戻して往きしを元に月の帰路

人の一生を春夏秋冬に例える考え方があります。天寿を全うした人に対しては、そういった区分けも可能かもしれません。 しかし、若くしてなくなった人にたいしてはどうなのでしょうか。若くてもそれは当てはまるという人もおられます。 では、子規や賢治はどうだったのだろうとよく考えることがあります。」


2021.11.1
俳句


〈2021年10月のフェイスブックに投稿した拙句です。〉

ぬすびとはぎつけて繕ふ鋏鈴

命終もかくは明るき落葉径

蚯蚓鳴くや自死するものぞ鳴きもする

  (安藤忠雄氏設計の近つ飛鳥博物館)
うちっぱなしの壁沿ひに飛ぶ赤蜻蛉

  (祖父、二句)
仁王立ちして杖できのこの松葉避(よ)け

放蕩に孫子(まごこ)染まらず零余子飯

いのこづち老いて減りゆく付箋の句

十五年目も金木犀の散華かな

  (テーブルに置いて)
花梨の実越し来し部屋ににほひ立つまで

本を閉じれば秋灯の虫ルビと化す

十月の蝉鳴き出づるもひとつこと

鬼の子や段ボール箱貰ひきて

トスするに花梨一顆の固すぎる

秋彼岸異国の波は花束巻けり

時差呆けに冴ゆるものあり帰路の月

銀河鉄道文庫本より砂こぼれ

月に未練や手動の鈍きエレベーター

  (「植えるに時があり、抜くに時がある」コヘレトの言葉)
子規の一世(ひとよ)の春夏秋冬牛蒡抜く

かの丘は裸木(らぼく)と聞きし桜紅葉

三日月の零るる角度残る虫

越し来し部屋に鳴くやいづれの残る虫

権利書に古本匂ふ秋の夜

  (ブラジル往還)
時を戻して往きしを元に月の帰路

  (近つ飛鳥風土記の丘)
蝦夷塚(えみしづか)何年ものの木の実かな

色なき風にはだらもみじの花水木

霜降(そうこう)や遺影の母のほつれ髪

  (現役の頃、高等養護学校にて)
紅葉かつ散るビンボーを教へしことも

夕焼の眺めよき家茜月

  (高校のフェンス越しの声)
マスク手にエール繊月震はせて

インタビューにあらぬ方見て神無月



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