「うずのしゅげ通信」

 2022年4月号
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2022.4.1.
ウクライナ侵攻U

〈2022年2月〜3月にかけてフェイスブックに投稿したウクライナ侵攻に関わる句です。〉

最初の句は2月24日にフェイスブックに投稿した中の一句です。
ウクライナ侵攻がはじまってすぐの投稿で、そのときの文章の一部も再録しておきます。


「  (ウクライナ)
戦争がはじまるよーと恋猫の声塀むかふ

世界のどこかで戦争がはじまりかけていると思うと底深い不安を感じてしまいます。
ケニアの国連大使キマニさんが演説でこんなふうに言われたそうです。(2.24朝日新聞)
(ウクライナの)「「この状況は我々の歴史と重なる」と切り出し、 アフリカの国境は「植民地時代のロンドンやパリ、リスボンなど遠い大都市で引かれた」と指摘。……終盤、 キマニ氏はこう強調した。「我々は新しい形の支配や抑圧に手を染めることなく、 いまは亡き帝国の残り火から立ち直らなければならない。」」
ウクライナへの介入は、まさにいつかきた道の感があります。
かつて列強に伍すべく同様の振る舞いに及んだ日本の過去も思い出されます。」


続けて、以下3月に詠んだウクライナ関係の句です。

  (『罪と罰』)
地に口づけよとソーニャは言へり落椿

  (いつの日か)
春泥に口づけロシア兵ウクライナ兵

木の家にシェルターはなし雛納め

逃げ水の野をゆく戦車追ひつけず

ふたたびを311の電源喪失

  (ウクライナ、二句)
ようく見なさい轍乱るる春の泥

遠き戦争遠き死はなしふきのたう

ウクライナ侵攻が速やかに収束することを願っています。


2022.4.1.
フェイスブック
〈2022年3月7日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

  (『罪と罰』)
地に口づけよとソーニャは言へり落椿

  (いつの日か)
春泥に口づけロシア兵ウクライナ兵

  (「下ノ畑ニ居リマス 賢治」)
耕しや下根子桜の下ノ畑(はた)

  (リハビリのためと)
抗がん剤に友のむくむ手レモン握り

  (養護学校に転勤して)
卒業式のしじまをやぶるとごゑよき

  (雛祭りに)
鶯餅こぼるも愛(は)しき青黄粉

今日は雛祭りということで、おやつに鶯餅をいただきました。
一句、三句は、ウクライナ侵攻の関連ということで、以前の句を引っ張り出してきたものです。
下根子桜(しもねこさくら)は畑の呼び名です。
五句、「とごゑ」、コトバンクには語義未詳として、漢字では鋭声で「鋭く強い声か?」とあるので迷ったのですが、 あえて遣うことにしました。最初は「奇声」という言葉を考えていたのですが、 奇声にはマイナスイメージがつきまとっているので、「とごゑ」の方がいいかと考えました。
高校では入学式や卒業式は静粛なものがいいと思い込んでいました。ところが養護学校に赴任して最初の入学式、 静粛ではあるのですが、ときには「とごゑ」が静寂を切り裂くような場面もあり、 列席されている方々もそれを当然として受け止めておられます。私も最初は驚いたのですが、 式が進行してゆくにつれて、こういった式もいいものだと考えはじめていました。 生徒の放つ声の自然さに(静粛よりも)違和感がなく、 そこにいのちの力のようなものを感じ取ることができたからです。新鮮な驚きでした。
掲句では、入学式より卒業式の方がわかってもらえるかと、場面を変えて詠みました。」



2022.4.1.
俳句


〈2022年3月にフェイスブックへ投稿した拙句です。〉

  (『罪と罰』)
地に口づけよとソーニャは言へり落椿

  (いつの日か)
春泥に口づけロシア兵ウクライナ兵

  (「下ノ畑ニ居リマス 賢治」)
耕しや下根子桜の下ノ畑(はた)

  (リハビリのためと)
抗がん剤に友のむくむ手レモン握り

  (養護学校に転勤して)
卒業式のしじまをやぶるとごゑよき

  (雛祭りに)
鶯餅こぼるも愛(は)しき青黄粉

雛納めひとのにほひの消ゆるまで

木の家にシェルターはなし雛納め

逃げ水の野をゆく戦車追ひつけず

ミモザ咲く盲聾校の境目に

啓蟄やからうじて出る試着の手

眩しみてぶあいそな嬰(やや)うららけし

折りて継ぐ土筆のふしぎまだをさな

どうつながるの?311のけふとあの日と

  (3.11に初蝶)
あの日に翔り311のけふの初蝶

半減期が時きざむ地や花ミモザ

ふたたびを311の電源喪失

  (ソユーズの帰還)
湯冷め顔なる宇宙飛行士カザフの野

人体模型の二臓が足らぬエイプリルフール

啄むにも時節あるらしつひの黐の実

日の丸の染みほのかなり卒業予行

悲しは愛(かな)し311の花馬酔木

半減期が時きざむ地やゆきやなぎ

多角形に梢の癖み木蓮蕾む

てのひらは遠目のひかり白木蓮

彼我(ひが)の差は喪ひしもの紫木蓮

  (以前の地に今年も蕗の薹が、三句)
約(つづ)まりは私俳句蕗の薹

家の跡地にうつつ匂へり蕗の薹

百年遅れで村を出づるや蕗の薹

今生に人を手ばなし土佐みずき

風花や仏足石に触れもせず

  (賢治の心象スケッチ「薤露青(かいろせい)」)
どこへ逝くとも知れぬはよけれ辛夷咲く

  (ウクライナ、二句)
ようく見なさい轍乱るる春の泥

遠き戦争遠き死はなしふきのたう

  (わが父は)
どん底も聖夜の父でありしかな

繊細を晒して怖じぬ冬木立



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