「うずのしゅげ通信」

 2022年5月号
【近つ飛鳥博物館にて】
今月の特集

ウクライナ侵攻V

フェイスブック

俳句

「うずのしゅげ通信」バックナンバー
「うずのしゅげテーマ別拾い読み」
私俳句「ブラジルの月」(pdf)私家版句集「風の蝶」(pdf)
東日本大震災について (宮沢賢治にインタビュー)
「劇」「性教育」「障害児教育」「詩歌」「手話」
ご意見、ご感想は メールで。

「賢治先生がやってきた」には、 こちらからどうぞ



2022.5.1.
ウクライナ侵攻V

〈2022年2月〜4月にかけてフェイスブックに投稿したウクライナ侵攻に関わる句です。〉

最初の句は2月24日にフェイスブックに投稿した中の一句です。
ウクライナ侵攻がはじまってすぐの投稿で、そのときの文章の一部も再録しておきます。


「  (ウクライナ)
戦争がはじまるよーと恋猫の声塀むかふ

世界のどこかで戦争がはじまりかけていると思うと底深い不安を感じてしまいます。
ケニアの国連大使キマニさんが演説でこんなふうに言われたそうです。(2.24朝日新聞)
(ウクライナの)「「この状況は我々の歴史と重なる」と切り出し、 アフリカの国境は「植民地時代のロンドンやパリ、リスボンなど遠い大都市で引かれた」と指摘。……終盤、 キマニ氏はこう強調した。「我々は新しい形の支配や抑圧に手を染めることなく、 いまは亡き帝国の残り火から立ち直らなければならない。」」
ウクライナへの介入は、まさにいつかきた道の感があります。
かつて列強に伍すべく同様の振る舞いに及んだ日本の過去も思い出されます。」


続けて、以下3月に詠んだウクライナ関係の句です。

  (『罪と罰』)
地に口づけよとソーニャは言へり落椿

  (いつの日か)
春泥に口づけロシア兵ウクライナ兵

木の家にシェルターはなし雛納め

逃げ水の野をゆく戦車追ひつけず

ふたたびを311の電源喪失

  (ウクライナ、二句)
ようく見なさい轍乱るる春の泥

遠き戦争遠き死はなしふきのたう


さらに続けて、以下4月に詠んだウクライナ関係の句です。

  (ウクライナ、三句)
春泥に日々忸怩たる思ひあり

灰燼の街にも色の花のひとひら

三月の色なき街のスマホかな

  (1986年のゴールデンウィーク、奈良公園に遊ぶ)
チェルノブイリの日や飛火野の松花粉

  (中国の胡偉氏)
約まりは永久(とは)の国益万愚節

花冷えや士気のあがらぬ兵たりし父

ロシア侵攻恥辱に加へ三月尽

  (ある歌人に聞きし中国の柳絮)
百年の遺恨降り積む柳絮かな

ニホンタンポポ真中を猪よけ鉄条網


ウクライナ侵攻が速やかに終息することを願っています。


2022.5.1.
フェイスブック
〈2022年4月27日に下のようなフェイスブックのカバー写真についてコメント欄に投稿したものです〉









「カバー写真の恐竜には思い入れがあります。
高等養護学校の文化祭でのことです。生徒会の主催で喫茶店を開くことになったのです。 スタッフは生徒会の役員たちです。場所は学年でやる作業学習の教室です。 普段はこの場所で、たとえば百均の製品を作っている会社から請け負った簡単な作業などを流れ作業で行っているのです。 組み立てたり、出来上がった数を計算したり、袋入をしたり、いろんな分業を経験するわけです。
そこで、喫茶店をやるというので、まずは人を呼び込むための仕掛けとして目立つものを作ろうということになりました。 とりあえずは大きいものということで、いろんな案が出されたのですが、結局作れるものと話が煮詰まって恐竜案が残りました。 それじゃあと言うことで、作り方は私が考えて、生徒会の役員が色をぬったり、何かを芯に詰めたりして、 みんなで協力して作り上げました。もちろん恐竜は一頭だけ。 できあがると、どうしてかわかりませんが、恐竜の周りにもいろんな飾りつけをしていました。
そういった思い出があるので、懐かしく、どうしてもこのカバー写真にはこだわりがあるのです。」


2022.5.1.
俳句


〈2022年4月にフェイスブックへ投稿した拙句です。〉

  (ウクライナ、三句)
春泥に日々忸怩たる思ひあり

灰燼の街にも色の花のひとひら

三月の色なき街のスマホかな

  (「花の下にて春死なむ」)
たましひのわれをみおろす花万朶

  (1986年のゴールデンウィーク、奈良公園に遊ぶ)
チェルノブイリの日や飛火野の松花粉

  (中国の胡偉氏)
約まりは永久(とは)の国益万愚節

花冷えや士気のあがらぬ兵たりし父

ロシア侵攻恥辱に加へ三月尽

ビンタをくれし教師の癖球鳥雲に

花吹雪吾(あ)は風の虚(うろ)立ち尽くす

半減期の今思はする花吹雪

亀鳴くやかの半減期過ぎるころ

けふの忌で嘆きおさめや涼新た

  (聖徳太子御廟のある叡福寺)
花蘇芳御廟の寺は媚売らず

  (二年前の春の入院)
春暁のナースに翳すバーコード

  (「気散じ」「寝どろ」)
「きさんじ」「ねどろ」は亡母(はは)のことばや声朧

きのふ冷たき紫雲英(げんげ)の凹みすでに消え

幼くてたんぽぽの絮吹ききれず

甘吠えの子犬の一日入学す

  (祈るばかりに)
牡丹一輪天地のまなか咲きにけり

  (ある歌人に聞きし中国の柳絮)
百年の遺恨降り積む柳絮かな

ニホンタンポポ真中を猪よけ鉄条網

救急車過ぎゆき月の花水木

花菜道嫗とゆきて忘られず

躑躅の花の蜜吸ひしもの前に出よ

呆けるまでを晒して見せてチューリップ

大縄跳びによう入れぬ子花ゆすら

入学母子が小啄木鳥(こげら)の縞を見上げをり

  (菖蒲園に就職して)
卒業生がゐてぶあいそや花菖蒲

  (聖徳太子御廟のある叡福寺)
御廟の寺に香煙くだる杜若

あやめ蕾むやふたたびは畳めぬかたち

  (木の股に大きい蝸牛が)
芽山椒の絶妙にゐてかたつむり

韮の花燃え殻に土匂ひけり

雨よりも雫の音の若楓



「うずのしゅげ通信」バックナンバー

メニュー画面に