「うずのしゅげ通信」

 2022年8月号
【近つ飛鳥博物館にて】
今月の特集

ウクライナ侵攻、五ヶ月

フェイスブック

俳句

「うずのしゅげ通信」バックナンバー
「うずのしゅげテーマ別拾い読み」
私俳句「ブラジルの月」(pdf)私家版句集「風の蝶」(pdf)
東日本大震災について (宮沢賢治にインタビュー)
「劇」「性教育」「障害児教育」「詩歌」「手話」
ご意見、ご感想は メールで。

「賢治先生がやってきた」には、 こちらからどうぞ



2022.8.1.
ウクライナ侵攻、五ヶ月

ロシアによるウクライナ侵攻はもう五ヶ月を過ぎました。

ロシアの侵攻がこれまでの戦争と異なるのは世界の人々の目の前で行われているということです。
五月に詠んだ句です。

数メートル先の戦争柿の花

市民生活のすぐ近くで、柿の花が咲いているほどの近さで戦争がなされて、 その状況がスマホで撮影され、動画サイトに時々刻々に投稿され世界に発信されているということです。
われわれは今日の昼食に食べたカレーの動画を見るように戦争を眼前に見ることができるのです。
モザイクがかけられてはいますが、死体もごろごろしてをり、また負傷者の血が流れています。 レイプされた女性の後ろ姿の告白もまた登場します。
すべての残虐が動画サイトを通して、世界に拡散してゆくのです。
ウクライナの告発によって、戦争犯罪の調査も行われているようですが、それがどのような効果があるものなのかは不明です。 ただ、侵攻が終息したあとにおびただしい戦争犯罪の事実が残ることは確かです。
また、これまでに投稿された動画が、歴史として、ロシアの侵攻の歴史の証言として残るのです。 これは、われわれ人類にとっておぞましいことではないでしょうか。

このような現実を前にして、私は、もし日本が中国に侵攻したあの時代にスマホがあったらと想像することがあります。
日本が中国を侵攻してゆく仔細がスマホで日々撮影され、動画サイトに投稿されたとすれば、南京陥落だと国を挙げての提灯行列など できたかどうか。
インパール作戦で日本兵の死体がごろごろ並んでいる映像を、冷静に眺めることができたでしょうか。
ガダルカナル島の動画、あるいは沖縄の動画をとても正視できないはずです。 また、逆方向に視線を移せば、広島、長崎への原爆の現状などが 動画サイトに日々投稿されていれば、戦争を終息させるための原爆投下などというアメリカ政府の公式の理由付けは はたして米国民を納得させたでしょうか。

庭に咲く柿の花のように戦争が記録されてゆく、そんな時代にわれわれはいるのだということをしっかり認識する必要が あると思います。
そうなると、われわれの戦争のありようが変わるのでしょうか。
もし変わらないとすれば、人類の未来は危ういと思います。
変わるしか、われわれに生き延びる道はないように思います。
どうなのでしょうか。私は、そんなふうに思うのですが。

今月は、忙しくて「うずのしゅげ通信」も十分に推敲できませんでした。
来月号は、もう少し充実した内容にしたいと思います。
お付き合いください。

ウクライナ侵攻、どうも長期化する模様です。そうなると、犠牲者が、市民においても、軍人においても増えるばかりです。 なんとか早く戦いを終わらせる道はないのでしょうか。速やかな終息を願うばかりです。
〈2022年2月〜6月にかけてフェイスブックに投稿したウクライナ侵攻に関わる句です。〉

最初の句は2月24日にフェイスブックに投稿した中の一句です。
ウクライナ侵攻がはじまってすぐの投稿です。


「  (ウクライナ)
戦争がはじまるよーと恋猫の声塀むかふ

世界のどこかで戦争がはじまりかけていると思うと底深い不安を感じてしまいます。


続けて、3月のウクライナ関係の句です。

  (『罪と罰』)
地に口づけよとソーニャは言へり落椿

  (いつの日か)
春泥に口づけロシア兵ウクライナ兵



続けて4月のウクライナ関係の句です。

春泥に日々忸怩たる思ひあり

  (中国の胡偉氏)
約まりは永久(とは)の国益万愚節

ロシア侵攻恥辱に加へ三月尽



続けて5月のウクライナ関係の句です。
数メートル先の戦争柿の花

原子野の色なき五月蛇苺

シェルター出るや原子野まぶしどくだみの花



続けて6月のウクライナ関係の句です。
(ウクライナの動画)
蝿取紙垂るる兵たるものの上

春泥を浴びて砲兵たりし父



続けて7月のウクライナ関係の句です。
  (八月六日)
真実に田水沸く日や日がふたつ


2022.8.1.
フェイスブック
〈2022年7月24日にフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

  (八月六日)
真実に田水沸く日や日がふたつ

滝壺に滝に踏まるる邪鬼沸沸と

朝凪夕凪人はいつでも死ぬるゆゑ

空蝉の何に駆られてこの高さ

空蝉の葉に爪たてて吹かれをり

夏痩せや一臓一腑なき身にも

掌に羨(とも)し熟れしトマトの離れやう

老いの憂さ落つるトマトを掌に受くる

今日は四回目のワクチン接種に行ってきました。感染者が急速に増えていて、心配になってきます。
一句、原爆の爆発の瞬間、太陽が二つ現れたというのは、井上ひさしの「父と暮せば」にも出てきます。
七句、八句、今ミニトマトが色づき始めています。皮は硬めですが、けっこうおいしくいただけます。」


2022.8.1.
俳句


〈2022年7月にフェイスブックへ投稿した拙句です。〉

  (八月が近づくとやはり原爆のことが、二句)
路面電車の八月炎なびかせて

真実に田水沸きし日のどぢやう

かの高貴なる白服にフィルムの雨

空蝉の背なの歌口風にかそけく

引っ越しの夜に見てよりの守宮かな

  (ホテルの内庭に)
シティホテルに婚礼の夜のほうたる

  (香港)
冷し中華に噎せて催涙ガスに噎せ

蓮咲けりこの曲線は仏がつまむ

  (私は添削に反対ですが)
目くじら立てて死者の句添削するじやなし

  (一年前に引っ越してきて)
わかれゆくための暮らしや青時雨

必死を知るもわれ初蝉に劣りをり

飲み忘れ消し忘れして梅雨の明け

百均に句帳がなくて溽暑かな

  (散歩で出会ひし人)
半夏生の花愛で山の兵(つはもの)は

宇宙船に連れてゆくならあめんぼう

  (八月六日)
真実に田水沸く日や日がふたつ

滝壺に滝に踏まるる邪鬼沸沸と

朝凪夕凪人はいつでも死ぬるゆゑ

空蝉の何に駆られてこの高さ

空蝉の葉に爪たてて吹かれをり

夏痩せや一臓一腑なき身にも

掌に羨(とも)し熟れしトマトの離れやう

老いの憂さ落つるトマトを掌に受くる



「うずのしゅげ通信」バックナンバー

メニュー画面に