「うずのしゅげ通信」

 2023年4月号
【近つ飛鳥博物館にて】
今月の特集

3.11

フェイスブック

俳句

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私俳句「ブラジルの月」(pdf)
私家版句集「雛の前」(pdf)
2023.4.1
3.11


〈2023年3月20日にフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

蕗の薹父晩年の焚火跡

地べた寝や背な冷えまさる蓮華草

こぼれ雛鶯餅のあやふさに

  (3.11)
身ほとりの生死(しやうじ)を思ひ春一日

鶯の山を鳴かせて山競ふ

昨日の3.11。テレビ各局はいろんな特集を組んでいましたが、復興はまだ道半ば、 福島の帰還困難区域などはいろんな手当がなされていますがその地域でもまだまだ閑散とした感じでした。 そんな中、原発の再稼働が動き始めています。正常に働き続けても、高濃度廃棄物の処分場問題があり、 先が見えているのです。いったいどうするつもりなのでしょうか。
それこそ、先々々日の投稿で触れた落語台本のように原発ゴミの処分場を地獄に持ってゆくといった悪い冗談としか言えない状況に 追い込まれてゆきつつあるのではないかと、そんなことまで考えてしまいます。」

高濃度廃棄物の処分場問題について、私の書いた落語台本もあります。興味のある方は覗いてみてください。
『地獄借景』−原発のゴミ処分場を地獄に?−(http://www3.plala.or.jp/kenj.../kenjigeki/jigokusyakkei.html)


2023.4.1
フェイスブック


〈2023年3月12日にフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

鶯餅こぼれし雛のあやふさに

目をあげて人との出逢ひ春の虹

早咲きの一花しをれて木瓜連珠

  (落語「らくだ」)
破滅型にふさふ噺や木瓜の花

空也も吹くやたんぽぽの絮を吹く

フクシマの帰還未だしゆきやなぎ

昨日はいい天気で、お墓参りに行ってきました。墓苑にたくさん植わっている桜はまだ咲いていませんでしたが、 鶯の鳴き声を聞くことができました。
大阪でもぼちぼち桜が咲きはじめています。紅い木瓜の花もあざやかに花を連ねています。
四句、桂二葉さんの上方落語を聞く会での「らくだ」については、先日書きました。
本来「らくだ」は破滅型の噺家にむいている噺だと思うのですが、そういった点で二葉さんには少しむりがあったのではないでしょうか。 しかし、破滅型にも通じる彼女の突進力というか大ネタに挑むがむしゃらさ、勇気には感心もし、噺を聞き終えたところで 、ある種納得もさせられていたのでした。」


2023.4.1
俳句


〈2023年3月にフェイスブックへ投稿した拙句です。〉

山茶花の蜜吸ふ鳥の横ばひに

聞きそびれ遺影のまへのめをと雛

  (病院の中庭)
薬待つ庭室咲きの沈丁花

夕刊はもういりません花馬酔木

  (近つ飛鳥風土記の丘、二句)
冬いちご教へてくれし連れ逝けり

去年(こぞ)も迷ひし袋小路の桃の花

  (木蓮の上に)
末(うれ)くきやかに花芽継ぎ足し春満月

花菜の煮浸し配膳車さへ楽しみに

  (マスクからのぞく目)
白梅や目は口きかぬ別れかな

啓蟄やチェルノブイリの大たまご

  (三十年前は驚いたが。病院にせん妄の啓発ポスター)
母の譫妄(せんもう)今やただごと春うらら

蕗の薹父晩年の焚火跡

地べた寝や背な冷えまさる蓮華草

こぼれ雛鶯餅のあやふさに

  (3.11)
身ほとりの生死(しやうじ)を思ひ春一日

鶯の山を鳴かせて山競ふ

月光にならば濡るるや白木蓮

蛇腹折りに春愁の影階(きだ)降る

  (3.11)
春一日生死(しやうじ)の丈を深くして

一生(ひとよ)ものの父の銃創紫木蓮

白木蓮ニルスの旅にOe発つ

鶯餅こぼれし雛のあやふさに

目をあげて人との出逢ひ春の虹

早咲きの一花しをれて木瓜連珠

  (落語「らくだ」)
破滅型にふさふ噺や木瓜の花

空也も吹くやたんぽぽの絮を吹く

フクシマの帰還未だしゆきやなぎ

花の雨あといくばくの花雫

清志郎の君が代耳に桜の夜

花屑をもみて両掌にあふれしめ

戦争に七曜はなし花曇

花屑を両掌にもめば白き鳩

花の塵両掌あふるる歓喜あり

画帳一冊たんぽぽとクレヨン迷路

すれ違ひざま「ゲット」の声に飛花打てり

空耳に閑古鳥鳴く父母の墓

余命の父の隠れ煙草やつちふれり



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