「うずのしゅげ通信」

 2023年11月号
【近つ飛鳥博物館にて】
今月の特集

「21人い る!」

フェイスブック

俳句

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私俳句「ブラジルの月」(pdf)
私家版句集「雛の前」(pdf)
2023.11.1
「21人い る!」

〈2023年10月6日にフェイスブックに投稿したものです〉

今日の拙句です。

  (地車の俄の口上「鳴物をば打ち鎮めおきまして……」)
鳴り物をば鎮めましてと虫の闇

  (昭和13年10月富田林に、当時の女学生に聞いた話、二句)
ヒトラーユーゲントの秋旗振りに

  (千早神社に)
何がこの秋の神社にヒトラーユーゲント

二枚目の写真、いつごろかはわかりませんが昔の地車の写真です。村社への宮入の様子を写したものだと思われます。
三枚目は八月の戦争展の掲示です。ヒトラーユーゲントが富田林に来たというのは、以前に句会仲間から聞いていました。 中学生や女学生が旗振りに駆り出されたのですね。

毎年八月に行われる高校演劇の大会、今年は鹿児島で開催されたようで、先日その大会の様子がNHK「青春舞台 2023」で放映されていました。 今年の最優秀校は徳島県立城東高等学校演劇部の『21人い る!』という劇でした。
劇の舞台は、どこかの国のどこかの高校のどこかの地下室。そこが演劇部の部室というか練習場になっています。
放課後集まってくる21人の演劇部員の中から男子部員が次々に「ボランティア」ということで、半強制的にどこかにつれていかれるのです。
部員がだんだん減っていくのですが、次に誰がひっぱられるのか、「ボランティア」で何をやらされるのかもわかりません。
毎日部室に集まってくる部員たちの遣り取りは早口で、つぎつぎに声がかぶさったりして私の耳では十分に聞きとれなくて、 想像するしかないのですが、あらかたの筋はわかります。地上からは、爆発音が聞こえてきたり、閃光が漏れてきたりします。
部長が英雄的な活躍をしているといった噂だけが伝わってきます。演劇部の男子は異常な緊張の中におかれています。 この状況、戦争とかウクライナと言った言葉はでてきませんが、まさに、かの国の高校生の状況を想起させるものです。
どのように劇が展開してゆくかは、観てもらうしかありませんが、 こういった状況を自分事と感じている高校生の真剣さがひしひしと伝わってきて切なく、感動させられました。
後で調べてわかったのですが、ボランティアには志願兵という意味もあるのですね。


2023.11.1
フェイスブック


〈2023年10月25日にフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

金木犀の影も色づく花の暈(かさ)

だんじりの街場は音の方向音痴

  (《折々のことば》「国民的熱狂をつくってはいけない」(半藤一利))
熱狂のもたらすものや曼珠沙華

とほざかりゆくものばかり夕かなかな

  (二年前の入院)
病窓に入日を追ひて夕月よ

快晴の青空。金木犀もほとんど散ってしまいました。先週の土日で、近辺の祭もあらかた終り、 いよいよ冬隣といったところでしょうか。秋はまたたくまに過ぎ去ってしまいますね。


2023.11.1
俳句


〈2023年10月にフェイスブックへ投稿した拙句です。〉

  (地車の俄の口上「鳴物をば打ち鎮めおきまして……」)
鳴り物をば鎮めましてと虫の闇

  (昭和13年10月富田林に、当時の女学生に聞いた話、二句)
ヒトラーユーゲントの秋旗振りに

  (千早神社に)
何がこの秋の神社にヒトラーユーゲント

  (小学生の頃)
折りかぬる芒に石の鏃持ち

北枕ちよつとずらして秋時雨

かなかなやこの世の果ては遠ざかる

切岸の萩しなだりて蛇の穴

コスモスに異国の料理匂ひくる

放ちて未練脚かたわれのなき飛蝗

  (昭和13年10月)
何がこの千早神社にヒトラーユーゲント

晒さるるもの根に持ちて曼珠沙華

落蝉を足で片寄す老いの意図

  (「ちょうさじゃ」はだんじりの掛声)
ちょうさじゃを逃散じゃと聞く山車(だし)嗄るる

  (父)
応召八年勲章が何彼岸花

鶏頭の種の黒目が墓碑の上

金木犀の花透けて中がらんだう

子の忌過ぎれば金木犀を待つばかり

金木犀に呼びとめらるる思ひあり

つひの住処と聞けり二度目の桔梗咲く

金木犀の影も色づく花の暈(かさ)

だんじりの街場は音の方向音痴

  (《折々のことば》「国民的熱狂をつくってはいけない」(半藤一利))
熱狂のもたらすものや曼珠沙華

とほざかりゆくものばかり夕かなかな

  (二年前の入院)
病窓に入日を追ひて夕月よ



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