「うずのしゅげ通信」

 2023年12月号
【近つ飛鳥博物館にて】
今月の特集

「なぜ戦争をするのか?」

フェイスブック

俳句

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私俳句「ブラジルの月」(pdf)
私家版句集「雛の前」(pdf)
2023.12.1
「なぜ戦争をするのか?」

〈2023年11月12日にフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。
  (アインシュタイン、フロイト著「ひとはなぜ戦争をするのか」)

戦(いくさ)を問ふ一石投ず神の留守

1932年、国際連盟からアインシュタインに依頼されたのは、「今の文明でもっとも大事だと思われる事柄を取り上げ、 一番意見を交換したい相手と書簡を交わしてください。」というもの。
アインシュタインが選んだテーマは「ひとはなぜ戦争をするのか?」、書簡の相手は精神科医のフロイトでした。
(講談社学術文庫の訳者あとがきより)
十分に理解したとは言えませんが、いまだからこそ読む価値があるように思います。
また、訳者あとがきに続けて、解説T「ヒトと戦争」を養老孟司さんが、解説U「私たちの「文化」が戦争を抑止する」を斎藤環さんが、 現代の状況も加味してやさしく(?)解説しておられます。お二人の解説によって現状に絶望することなく 、かすかな希望のひかりを見出すことができたように思います。」
《補注》
この句には、主語がないと言われるかもしれません。普通の場合俳句の主語は私ということになっています。
しかし、この句の主語は私ではありません。
でも、俳句をようく読んでいただければ、誰が「一石を投じたのか」自ずからわかるはずです。

2023.12.1
フェイスブック


〈2023年11月8日にフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

  (「あかんぼがいる」谷川俊太郎)
あかんぼがゐるガザのがれきの今朝の冬

ニュースでガザの生まれたばかりのあかんぼが映されていました。その何にも染まっていないあかんぼにのみ希望を託せるようなそんな気がしました。
谷川さんの詩のように、このあかんぼも成長してゆきます。
いつかはばあさんかじいさんになれますように。
ばあさんかじいさんになれる世になりますように。


〈2023年11月25日にフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

番号で呼ばるる疲れ冬ざるる

アウシュビッツの朱の雲ガザの冬夕焼

いのちにも倍の重さの十二月

十二月八日今年は迫り来る

検査の予約をするために病院に行って来ました。
半日近くを待ち、それだけで疲れてしまいました。
二句目、『夜と霧』を書いたフランクルが、収容所で経験したこと。
強制労働に疲れ果て倒れ込んでいる夕刻、一人の囚人が飛び込んできてみんなに外に出るように促します。
しぶしぶ外に出た彼らが目にしたのは見事な夕焼雲。その中のひとりがつぶやきます。
「世界はどうしてこんなに美しいんだ……」
強制収容所から奇跡的に生き延びたフランクルが、戦後、人間というものについての思索を築き上げる礎になった体験。」


2023.12.1
俳句


〈2023年11月にフェイスブックへ投稿した拙句です。〉

すれ違ひかぬる路地にも菊の鉢

啄木鳥のつつくむら気の小枝落つ

  (1943年10月21日)
桂黄葉カラメルの香の平和かな

母語は何?母語はニュース語紫苑咲く

  (ストロンチウム90の実効半減期)
十八年の見当識や後の月

  (11/5 遊歩道の桜に鶯を聞く、これも異常気象か)
うぐひすも桜紅葉を惜しみけり

後(あと)の祭が性に合はぬか残る虫

  (昔の金剛バス)
狐火を見しバス停のバスに耳

グランドに戦車来る日の曼珠沙華

母語は何?母語は他所行(よそゆき)紫苑咲く

  (「あかんぼがいる」谷川俊太郎)
あかんぼがゐるガザのがれきの今朝の冬

  (アインシュタイン、フロイト著「ひとはなぜ戦争をするのか」)
戦(いくさ)を問ふ一石投ず神の留守

  (11/15.18:23)
宇宙ステーション見上ぐ勢子蟹喰ひさして

鬼の子の糸にからむも縁(えにし)かな

  (養老孟司氏に「(戦争が)いずれ、飼い殺されるに違いない」との言葉)
戦争を飼ひ殺すすべかみなづき

番号で呼ばるる疲れ冬ざるる

アウシュビッツの朱の雲ガザの冬夕焼

いのちにも倍の重さの十二月

十二月八日今年は迫り来る



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