(Aug. 12, 2003)
このサイトの治療法をまとめてほしい、というリクエストの投稿やメールを何度もいただきました。ようやくそのリクエストに応えることができました。
現在、尋常性白斑の治療としては、一般的には、ステロイドの外用剤を塗布することと、PUVA(psoralen-ultraviolet A therapy の略。プーヴァと発音します。紫外線照射療法のことをいいます。)が行われています。
PUVAでは、ソラレン(オクソラレン等の商品名)という紫外線を吸収しやすくする薬を、紫外線の照射を受ける前に塗布したり内服したりするのが一般的です。入浴型のソラレン塗布という方法もあるようです。
PUVAでは、デルマレイ(紫外線照射装置)を使って紫外線の照射を受けることが多いのですが、太陽光を利用する場合もあります。
PUVAは、全国どこの皮膚科でも受けることができます。
PUVAを受けることによって、毛穴の部分から小さな色素が付いてその付近から徐々に色が付いてきたり、白斑と正常な皮膚の境界の部分から白斑が縮小して治ってきます。古代エジプトの時代から、この治療が行われてきたと言われることがあります。
病院に通う時間がとれない場合には、ブラックライト(紫外線灯)を購入して自宅でPUVAを行うこともできます。
もともと色素を作る能力のない皮膚、あるいは能力の不十分な皮膚に、体に有害な光線である紫外線を照射するわけですから、副作用について気になるところです。しかしながら、PUVAと皮膚癌との関係についてはきちんとした検証はされていないようです。もともと皮膚癌は、大量の紫外線を照射したからすぐに癌になるというようなものではなく高齢になってから発症するものですから、検証することは難しいのかもしれません。
ステロイドの外用剤である軟膏やクリームの処方を受けることも一般的です。ステロイド軟膏やクリームを塗ることによって白斑の拡大が抑えられたり、白斑が縮小したりします。ステロイドの外用剤には強弱があり、体には比較的強いステロイド剤が使用され、顔には比較的弱いステロイド剤が使われます。なお、軟膏とクリームとでは基材が違うだけで成分は変わりません。
一般的には、ステロイド軟膏やクリームで白斑の拡大を抑えながらPUVAで白斑に色を付ける、という方針で治療を行います。
ステロイドに副作用がある、ということについては、世間一般で言われているところです。皮膚科医の中でもステロイドの使用については賛否両論があるようですので、ここではこの点については触れないことにします。
アトピー性皮膚炎にステロイドを含まない外用剤(非ステロイド系外用剤)が用いられているのと同様、白斑にも非ステロイド系外用剤が用いられることがあります。ステロイド製剤には副作用があるので非ステロイド製剤を使って脱ステロイドを図るべき、という考えの患者さんもいらっしゃるかもしれません。しかしながら、副作用はステロイド製剤についてだけあるわけではなく、非ステロイド製剤にも副作用はあります。医師の先生方は、患者さんの症状に応じて、ステロイド製剤と非ステロイド製剤を使い分けています。非ステロイド系の外用剤は選択肢の1つであり、ステロイド製剤に完全にとってかわるというものではありません。
なお、非ステロイド系の外用剤にどのような薬があるか、どのような特徴があるかについては、このサイトのリンク集でもリンクしている「おくすり110番」というサイトhttp://www.jah.ne.jp/~kako/の中の「病気別の薬フォルダー」から「アトピー(外用)」というページをご覧ください。
乾癬の治療薬であるビタミンD3活性剤(ボンアルファやドボネックス)という外用剤で白斑が消えた、又は白斑が減ったという患者さんもいらっしゃいます。
フロジン液という外用剤(液)が処方されることもあります。ずっと昔は本剤が一般的であったと思われます。現在でも特に幼児や年少者の患者さんには本剤が処方されるのではないかと思います。残念ながら私は本剤で白斑が縮小した経験はないのですが、この薬が現在でも処方されることがあるということからするとこの薬にも治療効果があるものと考えられます。
ステロイドの内服が行われることもあります。ただし、内服は外用剤を塗ることよりも副作用が強いのではないかと考えられており、白斑という見ためだけの病気について、ステロイド剤の内服という身体内部への影響の多い治療を行うということはあまりないようです。
末梢血管の血行をよくする円形脱毛症の治療に用いられるセファランチン(内服薬)が処方されることもあります。
アレルギー治療薬であるIPDカプセル(内服薬)が処方されることもあります。
ただし、セファランチン及びIPDカプセルに白斑の治療効果があるかどうかについては医師の間でも見解が分かれていますので、皮膚科に行って、これらの薬の処方を頼んだからといって必ず処方されるというわけではなく、これらの薬を処方するかどうかは医師の判断によることになります。ステロイドの内服薬ほどではないにせよ、どんな薬にも副作用があり、治療効果と副作用との比較で治療効果の面の方を重視する場合に薬を処方するものですので、尋常性白斑の治療にこれらの薬剤を処方するかどうかは医師によっても難しい判断になります。
あと、薬局、特に漢方を中心として扱っている薬局で販売されている内服薬に、ルミンAという錠剤があります。病院では本剤が処方されることはないと思います。
吸引水泡植皮術(サクションブリスター法、SBT法ともいいます。Suction Blister Therapyの略です。)という、色素のある皮膚に人工的に水泡を作り、その水泡を白斑の部分に移植する、という外科的治療も行われています。入院して行うこともありますし、通院で行うこともあります。長期間の予約待ちとなっている病院もあります。白斑の中でも特に分節型には治療効果の高い方法といわれています。
1番かいぎしつと6番かいぎしつにログがありますが、水疱の移植というのではなく皮膚の切除によって白斑を目立たなくするという手術もあるようです。私は受けたことがありませんし医師の先生から話を聞いたこともありませんので詳細は分かりません。
白斑とは厳密には区別されますが、サットン母斑という病気があります。これは、ほくろの周辺の皮膚が白くなるものです。ほくろを消そうとする免疫の働きがほくろの周辺の皮膚まで白くしてしまう、と言われています。サットン母斑については、ほくろの除去で白斑が消滅するようですので、外科的治療が非常に効果的な治療のようです。
あざやほくろの除去や、入れ墨の除去に行われるレーザーですが、白斑治療に導入している病院もあります。レーザー治療は、レーザー専門の病院でのみ行われているようです。レーザーについてはこのHPの1番かいぎしつにログがありますのでそちらを参照してください。レーザーが白斑に適応があるか否かについては医師の中にも賛否両論があるようです。私が以前受けた時は健康保険が効かずに、多額の出費が必要でしたが、現在ではどうなっているのか分かりません。
あざやほくろの除去のために利用されているドライアイス凍結療法や液体窒素凍結療法を白斑の治療にも導入している病院があります。ただしそのような病院を探すのは大変だと思います。新しい治療法にトライしよう、という熱意のある先生以外は白斑治療に取り入れることはないと思われます。
円形脱毛症の治療に利用されている局所免疫療法を白斑に導入している病院があります。人工的にかぶれを起こすことにより免疫力を回復させるというものです。これもドライアイスや液体窒素と同様、熱意ある医師によって一部で取り入れられている治療法であり、この治療法を取っている病院を探すことは大変だと思います。
白斑が広範囲に及んでいる場合、色素の回復を図るのではなく全身の色素を脱色してしまうという方法をとることがあります。色素を脱色する薬を塗布することにより脱色を行うようです。マスコミで、マイケルジャクソンが脱色している、と報道されたことがあります。この治療法のことを言っているのかもしれませんが、詳細は不明です。大学病院を含む一般の病院ではこの治療は行われていません。国内でこの病院を探すことができなければ海外の病院で受けるしかありません。たしか1番かいぎしつ及び6番かいぎしつにログがありますので、「脱色」「色素」等のワードでサーチしてみてください。4案かいぎしつにもあるかもしれません。
もともとは乾癬の治療として行われたナローバンドUVB(NB-UVBともいう)治療について、近時、白斑にも取り入れられ治療効果を上げているようです。PUVAと比べ、狭い周波数の紫外線だけを照射するものであり、ソラレンの内服ないし塗布の必要がなく、治療効果が高く、副作用の危険が少ないと言われています。ナローバンド対応のデルマレイが、一般の紫外線照射のものよりも高価なものなので、まだ導入している病院は少数です。このサイトの「病院について」をご覧ください。今後、主流になる治療法だと思います。
白斑のような慢性疾患では、対症療法よりも原因療法の方が効果的なのかもしれません。私自身、かんぽうで白斑が軽快した経験もあります。かんぽう薬局で処方してもらったもので、月額4万円近くかかったため、やめてしまいました。病院で処方してもらって健康保険が効くのであれば有効な治療法だと思います。ただし、白斑にかんぽう薬による治療を導入している皮膚科の病院を探すのは大変な作業だと思います。
6番かいぎしつの、[547]のチハルさんの投稿と[548][550]の私の投稿をご覧ください。現況ではキューバ又はそれ以外の海外に行く以外に、この治療を受けることはできないと思います。
上述のキューバの薬以外にも新薬はあるようです。例えば、1α,24―(OH)2 ―V.D3 を有効成分として含有する白斑治療剤(帝人)があります。
新薬はこれ以外にもあるようです。乾癬に上述のビタミンD3活性剤が最近利用されるようになった(その後、白斑にも一部で利用されるようになりました)のと同じように、白斑治療薬について、新薬が登場することが望まれます。
歯科治療に使用されてきた、水銀合金のアマルガムがアトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症の原因になっている、と言われることがあります。アマルガムが白斑についても原因となっている可能性もあります。歯科治療をやり直すことで白斑が軽快する可能性があります。1番かいぎしつ及び6番かいぎしつで、「歯科」「虫歯」「金属」「アマルガム」等でログをサーチできます。
1番かいぎしつの、[87]のmayoさんの投稿と[89]の私の投稿をご覧ください。潰瘍性大腸炎で行われている治療法であり白斑には取り入れられていません。今後の治療法ということになります。
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