「うずのしゅげ通信」

 2021年1月号
【近つ飛鳥博物館、河南町、太子町百景】
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2021.1.1
年賀

新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、「うずのしゅげ通信」をご愛顧いただき、ありがとうございました。

内容が、フェイスブックの投稿に重なることが多くなっていること、申し訳なく思っています。
フェイスブックの内容は短文ながらそれなりに考えて投稿しておりますので、それ以外にあらたに 稿を起こすのがつい億劫になってしまう、というのが実情です。これが歳をとるということかと痛感しております。

俳句とは、日常生活の「異化」だと考えています。「異化」は芸術の手法ですが、何も考えなければ通り過ぎてしまう 日常生活の細部に拘り、それを異化することで新たな面を発見し、詩の言葉で表現することによって、惰性に流れがちな日常に違った感覚を導き入れ、 「生の感覚」を活性化する、そんな手法です。
俳句は小さい器であるだけに、体力的にむりなく創作できるということもあり、老人にはなじみやすい文学だと思います。
この歳になってなお創作の喜びを持つためには、まさに俳句しかありません。この十年ばかり、俳句に打ち込んできたのは その喜びがあるためでもあります。
そういう訳でこの「うずのしゅげ通信」、どうしてもフェイスブックに投稿した記事の再掲載という形になってしまいます。 ご容赦ください。

たまにはオリジナルの文章も載せたいと思いますので、何卒本年もよろしくお願いいたします。


2021.1.1
フェイスブック

〈2020年12月22日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

暮れきらぬ冬至夕べの星二つ

病抜けは祈りのことば一陽来復

柚子湯にはいい句が多したゆたへる

老いの死にいつしか淡し冬至風呂

  (かつてはラジオ少年)
真空管こぞりて灯る聖夜かな

  (大江健三郎『政治少年死す』(海賊版))
『政治少年死す』を聖夜の奇貨として

今朝、カレンダー「はたらく仲間のうた」−−障害のある人が描く、想いあふれる作品たち−−を届けていただきました。 きょうされん発行で、勤めていたころから毎年購入していて、すばらしい絵を楽しませてもらっています。
昨夕、土星と木星の接近を見ました。南西の空に、土星はちょっと頼りない感じで、木星はどっしりと控えていました。
南の空の月も火星もきれいでした。
六句目、若いころ、クリスマスの夜、大阪の繁華街を友人とぶらぶらしていて、政治的な本を専門に扱っている書店(?) で偶然大江健三郎の小説『政治少年死す』の海賊版を見つけました。この作品、『セヴンティーン 』(第二部)として 「文學界」に掲載されたのですが、出版社への糾弾があって、以後作品集に収録されることはなく、 ずっと読むことができなかったものです。価格がいくらだったのか覚えていませんが、私はただちに買い求めました。 その本、貴重本扱いで十年くらいは私の書棚にあったのですが、いつのまにか行方不明になってしまいました。 読みたければ、今は『大江健三郎全小説3』で読むことができるようです。とは言え、あの海賊版の冊子、 やっと見つけたという思い入れがあって、それなりに愛着もあったのですが……。」


〈2020年12月25日にフェイスブックに投稿したものです。〉

「今日の拙句です。

噛み当てて聖菓悲しき銀の粒

読書会に聖夜のちらし挟み持ち

雪催ひ北国の妻うべなはず

  (父母の遺したものの整理、二句)
軍人手帳の和紙破(や)れにくし落葉焚

眼力(めぢから)の母はセピアに着膨れて

父母のアルバムなどを整理しました。長男の役目ですね。

ところで、話は変わりますが、先日、NHKの「日本の話芸」で笑福亭たまさんの「地獄八景」を観ました。 これが時事ネタをふんだんに盛り込んだ「地獄八景」で、桂米朝さんの「地獄八景」とはひと味もふた味もちがう、 それでいて、それなりにおもしろい落語になっていました。楽しませてもらいました。
実は、私も落語が好きです。好きが嵩じて、台本まで書いてしまいました。
その一つが「朗読する落語台本『地獄借景』」(2013)というもので、 脚本のホームページである『賢治先生がやってきた』(http://www3.plala.or.jp/kenjigeki/)で公開しています。 内容は原発の廃棄物の最終処分場を地獄に持っていったらどうなるか、という噺なのです。半減期が十万年といった廃棄物、 とても人間が管理できるものではありません。また、高レベルの廃棄物というのは、 一人あたりに換算するとサイコロ一個分くらいらしいのです。それである官僚が、 それならば、地獄に処分場を作って、今の人口だけの日本人が亡くなったら、 六文銭の代わりに廃棄物のサイコロをあの世に持っていってもらってはどうでしょうと、 大臣に進言したわけです。そこからは、地獄八景そのままに二人の男がサイコロをもって、三途の川を渡り、閻魔様の前にやってきます。・・・
アイデアとしては悪くはないと思うのですが、実際に演じるためには、 もっと噺の流れを単純化しなければならないのだろうと考えています。そういう思いから、 とりあえずは朗読する落語台本としたのです。
ところが何年たってもどこからも上演の声がかからないので、高校演劇でもできるようにと、 場面ごとに漫才で演じてリレーしてゆくというかたちに脚色した脚本もあります。
こちらは、「落語劇 『地獄借景』(脚色版)」 としました。
興味のある方は、お正月の自粛籠りの暇なときにでも覗いて楽しんで(?)いただければと考えて宣伝させていただきました。」
「朗読する落語台本『地獄借景』

「落語劇 『地獄借景』(脚色版)」


2021.1.1
俳句


〈2020年12月のフェイスブックに投稿した拙句です。〉

祝日一日遷(うつ)りて軽き十二月

  (檻罠にかかった猪)
猪突かな檻の子ながら血の威嚇

少年孤りゆゑに狐火忘らえず

  (検温)
冬帽子擡(もた)げナースに額撃たる

明日からけふに艦隊来たる開戦日

銀河望めぬ地に住み古りて葛湯かな

死なるるは死に後るとも開戦忌

開眼(かいげん)の経早回す寒さかな

うつつも鬱もマスクで眼鏡曇らせて

暗室の灯がつきしまま冬銀河

ヨーコのイマジン ジョンのイマジン風花す

  (サンパウロ)
冬銀河彼のつひの地川なりに

冬の月神獣鏡を磨(と)ぎし映え

極月や片腕振って駆けゆけり

檻取り去られもはや罠なき枯野かな

  (ソユーズによる帰還)
宇宙船出でて草生(くさふ)の湯冷めかな

冬苺ほどな縁(えにし)や彼の晩年

  (劇『賢治先生がやってきた』)
冬銀河百年約し劇果つる

手持ち無沙汰なパトカーの窓雪催ひ

暮れきらぬ冬至夕べの星二つ

病抜けは祈りのことば一陽来復

柚子湯にはいい句が多したゆたへる

老いの死にいつしか淡し冬至風呂

  (かつてはラジオ少年)
真空管こぞりて灯る聖夜かな

  (大江健三郎『政治少年死す』(海賊版))
『政治少年死す』を聖夜の奇貨として

噛み当てて聖菓悲しき銀の粒

読書会に聖夜のちらし挟み持ち

雪催ひ北国の妻うべなはず

  (父母の遺したものの整理、二句)
軍人手帳の和紙破(や)れにくし落葉焚

眼力(めぢから)の母はセピアに着膨れて

冬木立鉛直と垂直のあはひ

西暦で書き寸詰まる年の暮

手を振るに何に臆する師走街

  (御座候は関西の今川焼)
御座候に並ぶ師走の社会的距離

  (親鸞聖人「罪悪深重煩悩熾盛の衆生」)
深重(じんぢゆう)の響きありけり除夜の鐘



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