「うずのしゅげ通信」

 2024年9月号
【近つ飛鳥博物館にて】
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私俳句「ブラジルの月」(pdf)
私家版句集「雛の前」(pdf)
2024.9.1
最終処分場


〈2024年8月13日ににフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

「う」の一字に既読2の付く今朝の秋

蝉の木を飛び立つ蝉のまたもどる

響かへば在り処(ありど)紛るる虫の闇

時刻合すとラジオ聞きゐる夜長かな

夕闇にすれ違ひざま涼新た

トイレなきマンションと言ふも秋暑し

フィンランドで、原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分場オンカロが試運転を始めるという記事が 朝日新聞(2024.8.12)に載っていました。オンカロというのは、フィンランド語で、「洞窟」を意味するそうです。 廃棄物は洞窟の地下四百メートルの坑道に10万年保管されるのです。
日本ではまだ候補地の文献調査がはじまったばかりで、原発はまさに「トイレなきマンション」といったところです。
これまでの流れを見ていると、文献調査の公募にさえ応じてくれる市町村がなかなか見つからないというのが現状のようです。
私は以前にこの原発の廃棄物処分をテーマに落語台本を書いたことがあります。
原発が稼働すれば放射性廃棄物が溜まってゆくばかり、処分場の持っていきどころに困り果てた政治家と官僚が、 万策尽きて地獄に建設をお願いするという噺でした。この処分場というもの、考えてみると地下400mということも、 10万年保管ということも、それこそわれわれの現実感覚からは遠く、 あえて言えば地獄的というしかない代物のような気がします。
落語の「地獄八景亡者戯」 (じごくばっけいもうじゃのたわむれ)をヒントに噺を膨らませたものです。最近オチに少し手を加えて、 やっと一つの噺として納得できる形にまとめることができました。
どんなものなのか暇なときにでも覗いていただければ幸いです。
入口はこちらです。
落語台本「地獄八景亡者戯もどき」
原発を使用し続ける限り、御座なりにはできない大問題です。」


2024.9.1
フェイスブック

〈2024年8月13日ににフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

炎天に烏の呵呵大笑を聞く

月影の速さや夜のいわし雲

泥足ほどの仏足石や蓮の花
  (村にいたころの地蔵盆)
翁ゐて供物飾るや生身魂

  (石川(大阪府)の川原で発見された古代ゾウの足跡化石)
滅びしものの足跡化石川夕焼けて

久しぶりの投稿です。熱暑に参ってしまって、俳句を考えることもできませんでした。少し涼しくなってきたので。
五句目、1989年、富田林高校の理科部の生徒が、学校近くの石川の川床で化石化した木の株を発見。
その後の何年にも渡る河床の調査によって、古代ゾウの足跡化石もみつかったのです。おどろきの発見ですね。
100万年前のアケボノゾウ(アカシゾウ)・シカマシフゾウの足跡だそうです。足跡化石というのは、 ただの足跡ですが、そこからは体格や生活についていろんな情報が得られる貴重なものだそうです。
(現在はその場所に看板が立っているらしいです。)」


2024.9.1
俳句


〈2024年8月にフェイスブックへ投稿した拙句です。〉

蝉の木を飛び立ちし蝉またもどる

テレビの前に足組はづす原爆忌

  (8月1日、近隣の市の花火大会)
手すり斜めに腰落ち着かぬ遠花火

グランド・ゼロに五秒の距離の遠花火

  (原民喜「……崩れ墜つ 天地のまなか 一輪の花の幻」
まぼろしの花の褪(さ)めゆく揚花火

「う」の一字に既読2の付く今朝の秋

蝉の木を飛び立つ蝉のまたもどる

響かへば在り処(ありど)紛るる虫の闇

時刻合すとラジオ聞きゐる夜長かな

夕闇にすれ違ひざま涼新た

トイレなきマンションと言ふも秋暑し

炎天に烏の呵呵大笑を聞く

月影の速さや夜のいわし雲

泥足ほどの仏足石や蓮の花

  (村にいたころの地蔵盆)
翁ゐて供物飾るや生身魂

  (石川(大阪府)の川原で発見された古代ゾウの足跡化石)
滅びしものの足跡化石川夕焼けて

老い先の優柔不断芋茎(ずいき)干す

翁ゐて供物飾るや地蔵盆

かなかなかなと膨張をする宇宙かな

地の影も水面の影もとんぼかな

檻に威嚇の息ぶちかまし手負ひの猪



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