・糖類、化学調味料添加について

   嘆かわしくも嘆かわしい、せっかくの日本酒にアルコールを加え、 糖類を加え、酸味料を加え、挙げ句の果てに化学調味料(グルタミン酸ナトリウム、 早い話味○素)まで加える。何とそれが“普通”酒なのである。
   「はぁぁぁっっ???!」という感じだ。それも日本政府が認めている規格なのである。 もう、何かを言う気力さえ失せてくる。この「日本酒」を論じる場で「普通酒」の名前を出すのも いらいらしてきた。これだけ語れば充分、もう止めるとしますか。

   さすがに少し詳しい人へは“普通”酒の添加物のひどさをいう 必要もないのであろうが、ここでは本醸造、純米酒の添加物について考える。
   「・・・?本醸造は醸造用(工業用)アルコール以外の添加はない はずでは?ましてや純米酒は米、米麹、水だけでしょう」
と疑問に感じられる方もいらっしゃるであろう。確かに規格で定められているところでは 本醸造には水、米、米麹、そして醸造用アルコール以外は入れられないことになっている。 そして再三述べる通り、純米は水、米、米麹だけで造るはずである。

   ところがどっこい、 私は「純米」と表記されているにもかかわらず、醸造用(工業用)アルコールのにおいが ぷんぷんするものに幾度も遭遇したことがある。嘘はやめよう。うきうきと新しいお酒を 買ってきて、器についで香りを嗅いで、「あれ?」と思い、口に含んで「・・・・・・」涙が出そうに なるこの気持ちがわからないのあろうか。こんなものをつくる会社には?何をつくっても 構わないが、嘘はやめましょう。やめてください。
   料理に使ってしまえば、とかおっしゃる 方もいるが、こんなまずい酒を使ったら料理もまずくなることは当然。料理に 失礼でそんなことできない。まがいものであることを見抜けなかった私の責任である。まずい 酒をあと1升飲まねばならない。でもこれはほんとに私の責任なのであろうか?試飲できるなら まだしも概観と表記である程度の判断をくださねばならない。そこに偽りがあったとき、 どうして1回も失敗なく買えるというのであろうか?これはもう立派な詐欺である。私は現に \3000弱のお金を使っていて、金銭的被害を被ったのであるから。私が対価を払ったのは、日本酒 のためであって、醸造用(工業用)アルコールのためでは断じてない。

   少し本題からそれたようだ。ここは糖類などの添加についてであった。 とはいえ全く的外れな話をしていたわけではない。糖類などの添加はアルコール添加と 無関係ではないのである。アルコールの添加があるからこそ糖類の添加が必要となる。 規格ギリギリまでアルコールで薄めた酒などただ水で割っても(糖分が少なくて日本酒としての バランスが悪く、)辛くて飲めたものではないはずであり、何かで調整するしかない。 つまり糖類を添加しているのだ。アルコールの添加がなければ糖類など出てくる はずもない。
   さて、糖類についてであるが、糖類の添加を許されるのは法的に“普通酒” (あ〜名前を出すのもおぞましい)だけである。近年、大手メーカーは“普通酒”を造るのを 止める、もしくは少なくするという方針を発表している。つまり、業界全体で使う糖類の量は 激減していっている・・・・・・と思ったら大間違い、普通酒の減少から計算されるほどは糖類の 使用量は減っていない。何故か?

   その理由について説明するには、“糖類”について言及しておく必要がある。 原材料には「糖類」、「醸造用糖類」などと明記されるが、後者は「白糠糖化液」 と呼ばれるものである。なにやらキナ臭い匂いを感じる方もいらっしゃろう。酒を醸造する 際は通常食べる米より余分に精米し、より中心に近い部分を使う。米の外側には酒造りにとって 必要のない余分な成分があるためである。普通に食べる米の精米で出た糠が通常の「糠」。 そして醸造のため、更に“白米”に当たる部分を削って出たものが「白糠」というわけである。 (大量の白糠の処理は酒造業界全体での問題のひとつとなっている) この「白糠」、中心部分よりは雑成分が多いというものの、でんぷんを充分に含んでいるので工業的な 処理を加えれば糖を造ることができる。これが「白糠糖化液」である。材料が材料故、べらぼうに 安い。普通酒にこれを添加しようと言うのである。そしてとんでもないことに、「糖とはいえ、 元の材料は米だから添加物なしだ。」という理屈を押し通そうというのである。酒造りには適さない 削りカスで、しかも酒の醸造仮定とは何も関係ない!よく恥ずかしくもなくそんな発想ができるなと 関心してしまう。自尊心とかそういったものはないのか?・・・さすがに業界もこれに関しては 後ろめたさを感じたのか、白糠糖化液を添加したときは「醸造用糖類」という表記をすることを 申しあわせたそうである。しかし、これは全く法的な拘束力をもたない“申し合わせ”であり、 (日本には、利害関係によって法整備に至らない、こういった“申し合わせ”というものが非常に 多い。こんな国は特に先進国ではあまり例がないのではなかろうか?あ、そうか日本は後進国だった) さらにおかしなことに「白糠糖化液を使っていません」という表記が禁じられているというではないか。 不正を保護しているのである。早死にするのは正直ものだけってか?

    きちんとした法的処置がないことが引き起こすことは何か。つまりこれが前述した業界全体 糖類の使用料が全然減っていないことであり、普通酒を本醸造や純米酒と偽称することである。売れれば だましてもよいのか?自尊心がないのはその企業なり個人なりの勝手だが、人が口にするものに関して 嘘の表記が許されてよいのか?日本人はこういったことにとかく無関心であるのは周知の事実では あるが、「別に飲めりゃーいい」をやっていると、不自然な味に疑問を感じずにいると、そのうち (企業が意図するか否かは別として)毒を少量混ぜられても気づかない、ということになる。 別に私はグルメなわけでも何でもない。味に無関心なことは自分の身を危険にさらすことであると 思う。もっと日本人は何を飲み食いさせられているのか、何を使わされているのか、何をさせられて いるのか、、、、考えてもよいと思う。
   ちょっと話がまたそれかかった。つまりそういった視点のことを特に歪んだ日本酒 の現状をもって展開してみたわけである。
   私は無論アルコール同様糖類の添加には反対である、というより、それを「清酒」 と呼ぶのはやはりどう考えてもおかしい。きちんとした分類と嘘偽りのない表記、審査を望む。そんなに 贅沢な願いだろうか。 

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