朋,遠方より来たる。


少数の貴方への招待状。

[伊能ウォーク] [言葉の十字路] [風よ.雲よ.人よ] [食いしん坊]

[猟場点描.2006] [2007〜] [2008〜] [2009〜] [2010〜]

[2011〜] [2012〜]



男が真に夢中になれるものは[遊び]と[危機]だけである。 ニーチェ


狩猟には[それ]があります。
男の遊びの世界とは,考えてみれば一種の苦行なのかも知れません。
遊びの持ついろんな要素を結晶体になるまで削ぎ落とすと,
最後は孤独な狂気と,危険だけが残る様です。

男とは厄介な生き物なのです。
また,それを求めて彷徨い続けます。

私にとっては,
それは同時に少年の日の見果てぬ[夢]の続きを探す旅でもあるわけです。
そんな様々な思いに心を彩りながら,
ライフル銃を背に愛犬と山を歩きつづけています。

その邪馬台国狩猟人を名乗る私が,
遠い少年の日々に立ち返って, 狩猟に纏わる話や,
魯山人を凌ぐ迷料理人(私)の包丁捌きの妙と,
猟期中には
猪,鹿,鴨等の豪快な野性味溢れる[男料理]を中心に紹介するページです。


我が心よ、、、熱く、そして遠くへ駆けよ。


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狩猟の世界

ハンティングは楽しく快適な遊びではない。

壊れない精神力、強靱な体力を求められる文字通り難行苦行の世界だと思う。
獲物に遭遇し銃を撃つ一瞬のために、それまでの背後にあるものがすべての世界。

身体と精神を鍛えるために、猟期外の普段の生活に於いても、
飲酒、過食、喫煙、恋物語、夜更かし、すべて厳しいほどに律する。
そうでなければ、本当の狩猟の世界ではやっていけない。
ハンティングという男の究極の贅沢というものは、
日常の徹底的な禁欲生活を要求するもの。

私は「獲物」を追っかけているのか、それとも「何か」に追いかけられているのか。
「忘れもの」を探しているのか、「失ったもの」を見つけようとしているのか。
そんな問答をくり返しながら、長い年月を自然の中で過ごしてきた。

今年も銃とナイフと一緒に出かけられる事を願いつつ、
更なるストイックな生活を。

森を撃ち わが心も撃つ 銃声



ある人の言葉から。
ハンティングという地上最後の男の贅沢を味わうために、
毎日毎日、規則正しい禁欲生活を送らなければならない。
ストイックな生活こそがエピキュリアンへの道であり窮極であるのだから、
現代という時代はまことにパラドックスに満ちた時代と言うほかない。

男の珠玉「ヘミングウェイ.COOK BOOK」

「ともきの世界」の書かざれる行間を読んで下さった方。
偶然であり、必然でもあったその出逢いの知人が贈って下さった一冊です。

ヘミングウェイの多くの著書の中で「釣り文学全集」と共に
野外派の垂涎.必読の一書。

私も辞書を片手に「待ち場」で読んでいます。

目は熱く「ヘミングウェイの世界」へ、、、耳は冷静に「獣の足音」を。

一月十三日早朝、バハマ、ビミニ島のヘミングウェイゆかりのホテル焼失。
バー「コンプリート.アングラー」で、淡い黄昏の色に染まりながら
カリブ海の夕日のようなブラディ.マリーを飲む私の夢も炎上。

男とは

使い込んだハンティング.ナイフ、、手の一部分になった銃。
それらを手にするとき、にび色の冷ややかな鋼の感触が、
日常の怠惰な生活の中で眠り込んでいた男の熱い魂を覚醒させる。
頬に銃を当て知覚されたものが意志となった瞬間、
乾いた銃声と共に鋭い衝撃波が迸り、
瞬時にして「生」と「死」が入れ替わる。
硝煙の匂い、血の匂い、汗の匂い、、それは男の世界の匂い。
男だけのロマン、、、男だけの心の痛み。

男よ、無人の曠野へ、ひとり往け。

荒ぶる魂の男達。

それぞれ,一騎当千の強者どもです。
現代の社会では稀薄になりつつある野性派の[男]の雰囲気が匂って来ませんか。

メンバー紹介。

杉本さん

世界に冠たる日本の通信事業を支えているNTTの優秀な技術屋さんです。
写真の鹿二頭は,電光石火の早業で一瞬にして射止められたものです。
全員[脱帽]でした。
その腕前の見事さは, [ワイアット.アープ]か,,,[ビリー.ザ.キット]か,,,
はたまた,[那須与一]か!。

客観的公平を期するため次の意見も紹介しておきます。
自殺願望の鹿で自ら弾に当たりに来た。
初(うぶ)な鹿で鉄砲の音に驚いて気絶しただけだ。
等々の声もありました。しかし羅生門ではありませんが
真相は[藪の中]です。

河合さん。

河合オートの経営者でキャンピング.カーの制作者としても有名人。
愛妻家でもある彼は、そのご自慢のキャンピング.カーで
奥様と全国の旅を楽しむ羨ましいほどのロマン派人生。

勿論、猟歴四十年のゴルゴ13クラスの名射手ですが、
しかし、そろそろスコープが必要かも。

六尺豊かな偉丈夫、快男児の山元君。

「男」が匂い立つ様な山元君は,お洒落な居酒屋を経営しています。
美味、珍味、魔味、驚味、、、
その一品一品に食通の貴方はしばしば言葉を失います。
勿論、自分たちで獲った猪、鹿のジビエ料理は三ツ星クラス!。

そして、もう一つの顔。

ジェット.スキーの全日本代表選手。世界選手権5位入賞。
その卓抜した身体能力の高さで軍団の中でも大活躍。

平成の巴御前。

軍団ただ一人の女性戦士, 中村嬢 です。
ナースという職業柄,沈着,冷静,大胆にして,且つ,細心。
闊達で勇敢な大和撫子(やまとなでしこ)です。

山を揺るがすような大猪にも臆する事はありませんが
平素は花も恥じらう手弱女(たおやめ)で,素敵な素顔美人。

父上と一緒に参加されています。
勿論,独身!。愛のブレット(弾丸)でハートを射抜いてくれる人は。

日本一美味といわれる琵琶湖の鴨。(かる鴨)

近江米を啄んで育った鴨は,雪片が舞う頃には脂がのり美味しくなります。
窓の外の雪化粧した樹木を眺めながら部屋の中をストーブで暖めて囲む鴨鍋は,
湖北の代表的な冬の味覚です。
そして鍋の湯気の向こう側に素敵な笑顔の佳人がいれば,
それこそ魅惑の宵の一時です。

「鴨すき」が一般的な料理ですが,
宮内庁のお狩り場でも食されるという
抱き身の部分を鉄板上で良質のオイルで焼き,
そして白葱を巻き大根おろしのポン酢で
いただく味は,まさに魅味です。

私はオイルは[九鬼のオイル]を,白葱は兵庫の[岩津葱]を,
ポン酢は宮津の[飯尾醸造]のものを使っています。
勿論,お酒は加賀の菊酒,
[菊姫の大吟醸]!!!。

全国のどんな有名な鴨料理店の味よりも、
私が獲ってきて作る鴨鍋こそ究極の美味。
葱、豆腐、芹などの食材は勿論のこと、
調味料にいたるまで選びぬいたものを使っています。

「味 淡 有 真 楽」

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食物連鎖とは云っても。

我々は,
地球上のいろんな生き物の命をいただいて生きているのですが,
やはり,心の何処かの部分が痛みます。

猟期が終わると,
全員でお寺を借り切って獲物達の供養法要を営みますが,
それでも心の深奥での葛藤があります。

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『一切衆生悉有仏性』

死闘。

文字通り,それぞれの[生と死]を賭けた闘いです

そこには生に対する執着も,死に対する怖れなど微塵もなく,
犬達の躍動感みなぎる四肢には凄まじい闘争心が満ち充ちています。

一方,
迫り来る不条理な死に対して渾身の憤怒を込めて絶望的な闘いに
立ち向かう壮絶な猪の姿には鬼気すら感じます。


集い来て、[おとこ][男][漢]達の世界。

恋と美食は両立しないと云われますが,狩猟の後,その日の猟果である猪を
料理して酌み交わすお酒の味は,『オトコ』だけが味わえる世界です。

身の付いた骨を適当な大きさに切り,お酒,お醤油,胡椒,一味唐辛子,
隠し味程度のお砂糖で味付けして(鍋奉行がいます)食べます。
お肉は,やはり骨に近い部分が美味しいですね。そして最後はラーメンを入れますが
これが、又,絶品で,どんな有名なラーメン屋さんでも真っ青。

昂揚した熱い魂の男達よ。グラスの底まで傾けて”乾杯を”。
オトコのロマンとはかくの如し!!。

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美味礼讃

お皿に花弁状に盛り付けることにより,脂身と肉の部分の模様が牡丹の花を
連想さすところから牡丹鍋と呼ばれるとか。
猪肉はどんなに煮ても固くならないし,脂身も溶けることはありません。
そして,その脂身がとても美味しいのです。

私はすき焼き風にしたり,焼き肉にしたりして食べますが
水菜と炊き合わせての[はりはり鍋]風にすると,
趣のある味わい深い鍋料理になります。
猪肉のことを山鯨と言うぐらいですから,
雪の下から掘り起こした水菜との組み合わせは絶妙です。

豚カツにすれば,その美味しさは云うまでもありません。

シアトルの近郊の猟場。

針葉樹の森が日本の猟場とは違う印象。

私たちの猟場.点描日記。

2005.11.15〜2006.2.28

それぞれのドラマ。

事故もなく今猟期も終了。
男一人一人が心のページに書き込んだ「それぞれの物語」を抱き
「それぞれの日常」へと帰っていく。
私も今日から街で暮らす下界人。
また、「なにか」を探して、違う「旅」に出よう。

漠然とした「不安と焦燥感」に苛まれつつも、いつの日かの再会を信じ。
アディオス.三人の猟友達、そして好敵手の森の住人達よ。

森の王者、ついに墜つ。

舛中さんが少年補導員の会議のため欠席で、本日も待ち場二名。
手慣れた猟場のために読みがズバリ的中し、河合さんの待ち場にかかった。
レミントン308.自動ライフルの180Gr銃弾二発の矢傷を負いながらも
さすがに80キロ近い森の王者、50メートルほど走り壮絶に力尽きた。
あまりの巨体に運び出しに一時間を要し、膝は笑い、腰は悲鳴を上げた。
三名ともギブ.アップ寸前。

幾度も弾の下をかいくぐってきたであろう森の猛者の魂魄、
ついに永久(とわ)の彼方へ。

雪辱

本日、河合さんが一族一門の総会のため午前中欠席で待ち場は二名。
そのために、特に入念な作戦の打ち合わせをして巻き狩りを開始した。
何度か抜けられて口惜しい思いをさせられた獣道に舛中さんが待機。
吉川さんが犬達と猟場に入ると、
すぐに「追い鳴き」と「勢子の発砲音」が聞こえてきた。
射かけられて茂った木々の間を飛ぶように駆け抜けて逃げる鹿。
程なく二発の銃声が轟き、
無線機に弾むような声で待ち場の舛中さんから終了の連絡。
森の住人との知恵比べに勝てた日。

そして、直視しなければならない「一つの命」の終焉と言う現実。

クロ、連日の活躍

チコ、ジロウが追い出してくれた鹿は待ち場の間を抜けられてしまった。
尾根待ちの私は勢子の吉川さんと合流し、諦めて下山していたら
一緒に歩いていたクロがいきなり日溜まりの茂みに飛び込だ途端に「出し鳴き」。
素早く待ち場に戻り待つと、間もなくクロと鹿が走ってきた。
谷川を渡ろうとする瞬間、スコープの十字に捉え発砲。
クロ、まさに全開。
オールド・ボーイの私も未だ老いずか。
そして、狩猟の持つもう一つの側面に心が痛む一日。

頂いた命のために

森からの恵みとして、かけがえのない命をくれた獣たちの為に
感謝と鎮魂の祈りを捧げながら丁寧に処理をする。
射止めたら、その者が、すぐに血抜きとガス抜きをしておく。
そして直ちに谷川で内蔵を取り除き、冷たい鮮烈な水で洗い流す作業。
連日の猟果のため全員疲労度も極限。冷凍庫も満杯で悲鳴。
本日の射手.河合氏。

「クロ」物語

とある事情があり、ある運命が訪れそうな「クロ」を舛中さんが引き取り育てた。
趣味人でもあり犬にも詳しい彼は根気よく愛情を注ぎ、猟犬として見事に開花させた。
今日も半矢(手負い)になって逃げる鹿を、その持ち前の俊足で追いつき噛み止めた。
そこへ主人の舛中さんが駆けつけが、組んずほぐれつの格闘のため銃は使用できず、
腰の自慢のお手製ハンターナイフで
「クー.ド.グラース」
(慈悲の一撃のとどめ)
恩返しのようなクロの活躍だった。

我々人間社会が喪ってしまった多くの大切な感情の結びつき。
それが「人と犬」との間には残っている事をしみじみ思わされた一日でもあり
「夕鶴物語」と重ね合わせながら不思議なほど暖かい心で寝床へもぐり込めた。

本日、天気晴朗なれど、心、波たかし

快晴の日曜日、いつもの仲間四名で巻き狩り。
少し雪嵩は減ったが、それでも輪かんじきが必要だった。
最初の猟場で、いきなり三頭の鹿を勢子と待ち場でそれぞれ射止めた。
運び出しに汗だくになり、その後、谷川で内蔵の処理、そして解体作業。
帰宅したのは午後十一時。
苦あれば楽しみ来たり、楽しみ去りて苦あり、、熱い昂揚感と泥のような疲労感
人生訓を凝縮したような一日。

本日の名射手は 河合 吉川 舛中 の三氏。

チコ.ジロウ、才能開花

母犬ナナが急逝したが、その悲しみを振り払うように
チコ.ジロウが今日も大活躍。
生後、一年数ヶ月なのに目を見張るような成長ぶりに感心した一日でした。

射止めたのは誰かって、、、勿論、、、言うに及ばず。(笑い)

2006年初出猟

記録的な豪雪でお正月も山に入れず
空を見上げながら、さながら動物園の檻の中の熊のように家でウロウロと
脾肉の嘆を囲っていましたが、やっと、いつもの仲間と今年の初猟でした。
谷を挟んで100メートル以上のところを速足で走る鹿に三連射
その凄腕の射手は誰だったでしょう。
多分、写真に入っていない「人」。(笑い)

データ

「銃」  ブローニング自動ライフル.308
「実包」  ラプア.メガ.フラット.ノーズ150Gr.(フィンランド製)
「光学照準器」  ドクターサイト.(ドイツ製.世界最小.最軽量)
((株)ファーイースト.ガンセールスで装着)

勢子大奮闘

膝上まである雪の中、輪かんじきを履いて勢子をしてくれた吉川さん。
愛犬のチコ.ジロウが追い出してくれた鹿を彼らの前で見事なネックショットで倒し
チコ.ジロウも尊敬のまなざしで主人を仰ぎ見ていました。

待ち場の我々は雪焼けするだけで出番のない一日。

待ちわびて

粉雪が舞う中を獲物を遠くまで追っていった
ボーイズ.ガールズ達(ナナ.クロ.ジロウ.チコ)が戻ってくるのを
無事であることを念じながら待ち続けています。

待ちわびながら、ふと、前後の脈絡なしに幼い頃の郷愁が蘇ってきます。
秋の夕暮れ時に遠くまで遊びに行ってなかなか帰ってこない悪童であった私を
戸外でいつまでも佇みながら待っていてくれた母の姿が
不意の激しさで胸に迫って来て溢れ出そうになるものがあります。

哀悼の記、

吉川さんの愛犬「ナナ」が数日前、生命の炎が燃え尽きた。
夏頃から体調が思わしくなく、動物病院で手術を受けて、猟はじめには元気だったが
やはり病魔には勝てず十二才にして逝く。
人間の年齢に比較すれば高齢だが、山は無理としても
あと数年は穏やかな余生を送らせてやりたかった。
「ナナ」長い間、有り難う。そしてご苦労様。先に逝った「チビ」と、また仲良く遊びなさい。
合掌

私のところのボーイズ達(かい.てつ)もすでに十四才
山野を私と一緒に駆けめぐってくれたあの日々が夢のようだ。
人の生涯も「一炊の夢」に過ぎないが、それにしても犬達の老いてゆくのは切ないほどに早い。
「時よ止まれ」と思いながら、毎日、残り少ない日々を悔いのないように一緒に過ごしている。

猟場の初雪(廃村跡).2005.12.7

川端康成風に言えば、、、
「峠を越えると、そこは雪国だった」

自然の織りなす妙というか分水嶺のこちら側には一片の雪もないのに
峠の向こうは四輪駆動のジープでも四苦八苦するほどの白銀の世界。
私たちにとって夢幻的な雪景色も森の住人にとっては足跡が付くために
その雪は死の使者なのです。

願わくば、いつの日にかは舞い散る雪だけを楽しむ風雅な心に還りたい。

雪の降る夜は楽しいペチカ
ペチカ燃えろよ、お話ししましょ、、、、

子供の頃、この唱歌を雪の夜にはよく唄っていた。

男鬼の紅葉. 2005.11.10

私たちがテリトリーとしている猟場に落ち武者伝説の聚落があります。

今では人煙も絶え、もう愛でてくれる主人(あるじ)もいないのに
巡り来る四季を忘れず、過ぎし日々を懐かしむように、
今年も「もみじ」が美しくも、そして哀しく仮粧(けわい)しています。

「おもて見せ うらまで見せて 散るもみじ」

良寛

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山で黄昏少年二人。

その落ち武者伝説の聚落に超熟年のO氏が居られます。
十年ほど前まで現役で、山守と炭焼きをされていました。
ふるき良き時代の日本の男性像そのままのお人柄と、超人的なお元気ぶり。

御歳八十六才、、天候の許す限り麓の街のお住まいから
20キロの道程の林道をバイクで昔の山のお家に通ってこられます。
腐葉土だけでの菜園で有機野菜を作ることが楽しみとか。
猟場でお逢いすると、いつも日溜まりで雑談のお相手をして下さるし
谷川の真清水で湧かしたお茶を囲炉裏端でご相伴にあずかるひとときは
私にとって下界の憂さを忘れる至福の時間。

燃えろ我が心よ、

囲炉裏火にも似たるやわらかな暖かさで。

猟場の落葉

秋の日のヴィオロンのため息の
身にしみてひたぶるにうら悲し
鐘の音に胸ふたぎ色かえて涙ぐむ
過ぎし日の思い出や

げに我れはうらぶれて
ここかしこ さだめなく
とび散らふ落ち葉かな

ヴェールレーヌ「落葉」

猟場での昼食(2005.11.23)

大きな鹿を射止め車の所まで運び出して
一息ついての昼食です。
猟場ではこのようにあわただしい食事ですが
素晴らしい景色が何よりのご馳走です。

舛中さん.吉川さん、遙かな稜線を眺めていますが、
「カール.ブッセ」の詩にある
山の彼方の空遠くに住むという「幸い」が見えていますか。(笑い)

私は犬が獲物を遠くまで追って行き
その回収に手間取ることが多いので
手軽な食事として何時もサンドウィッチとミルクティー、
そして少しの果物持参です。

凝縮された濃い時間。

この渓谷に獣道があり銃を手に待ちかまえています

ジリジリとした焦燥感、、、それでいて人生の贅沢な一瞬。

「待つということ、、それは時間の必然の歯車が回るのを見つめること」

滾る静寂。

雪の降る林道を、
汗と火薬の匂いを纏った男が魂の熱い鼓動と秘やかな足音だけを残して通り過ぎてゆく。

冬の猟期、森は私にとっては街、、、さまざまな出逢い、、、さまざまな別れ。

雪の降る街を 雪の降る街を 思い出だけが通り過ぎてゆく 雪の降る街を
遠い国から落ちてくる この思い出を この思い出を いつの日か包まん
暖かき幸せの ほほえみ

雪の降る街を 雪の降る街を 息吹とともにこみ上げてくる 雪の降る街を
誰にも分からぬ我が心 この虚しさを この虚しさを いつの日か祈らん
新しき光り降る 鐘の音

「雪の降る街を」から。

『賢者は旅を語り,愚者は食べ物の話をする』

さしずめ愚者である私は食べ物の話が大好きです。

後記。

11月15日の解禁日から三ヶ月間,毎日,猟場で一日の殆どの時間を過ごしていました。
勿論,大晦日も元旦も山の中。
その猟期もやっと終わり,何とか部分的に更新できました。
猪と鹿を含めて二十数頭獲りましたが,その一部の紹介です。
来シーズンには,本当に食べることに[こだわり]のある方でしたら,
獲れた後の猟師料理の飲み会に,ご招待しようかと思っています。
食べることと,お酒が大好きな女性であれば歓迎します。

ご持参いただくものは 『美味しかった』 という素敵な嘘の一言だけです。




[伊能ウォーク] [言葉の十字路] [風よ.雲よ.人よ] [男の食彩]

[猟場点描.2006] [2007〜] [2008〜]


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