2011年〜2012年



何を求める 風のなか行く

山頭火




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「20010〜」 [2012〜]




供養会

平成23年度の狩猟も仲間も犬達にも事故なく無事終わり、
例年通り、森の彼.彼女たちの「供養会」も滞りなく済ませた。
あと、いつものように「飲み会」で楽しい談笑のひと時を過ごし、
今年の11月の再会を約して散会。

数ヶ月の間、ほとんど自然の中に身をおいていたので、
街の中での生活はいろんな色彩や、ざわめきの刺激がつよく、
馴化するのにしばらく時間がかかりそうだ。
少し退屈の匂いがする日常の生活の中で、ゆっくりと、静かな時間が、
流れてゆく事を願いながらも、いら立ちと、とりとめのない不安とを、
繰り返しながらの暮らしが、また、始まる。



疾走

春の陽気の土曜日、吉川さんと狩り。
前日に狩り場を下見し、待つ地点と撃つポイントを決めておいた。
なぜか、今日は必ずここへ来ると言う確信めいたものがあった。
待ち場に着いてから、再度、鹿のコースと発砲の狙点を頭にたたき込み待機。
吉川さんがチコと山へ入るとまもなく「出たよ」と無線連絡。
集中して山裾を注視していたら、予想通りのコースを牡鹿が飛び出してきた。
休耕田が野原のようになって遮蔽物のない処で、彼も危険な場所であることを、
本能として身につけているのだろう、、、全力でその「危険地帯」を駆け抜けようとしていた。
前日にリハーサルまでしておいたので、余裕充分、、決めておいた狙点で二連射。
命中している筈なのにグラッともせず、そのままのスピードで次ぎの茂みに逃げ込もうとした。
一瞬、なぜ、、なぜ、、と思いながら前足を狙いつつ引き金を絞る。

小さな草原での、彼の「生」への大いなる疾走が終わる。

「チコ」が追ってきたことを確認して吉川さんに連絡。
本日も開始30分ほどで終了、側の川で解体作業を済ませた。



執念の捜索

尾根筋から吉川さんが牡鹿を撃ったら、
急斜面を転がり落ちていった。
大体の見当をつけて下りていったが、居ない。
手分けして捜索開始。

そのうちにチコ達が鹿に辿り着いたらしく、
リアルに生々しい状況が無線から伝わってくる。
発信器装着の犬達が側にいる間に見つけ出さないと回収は不可能になる。
アップダウンのきつい小さな尾根を幾つも登ったり下りたり、、
焦りながらの一時間。
そのうち、吉川さんが「チコ」の姿をチラッと見て寄ってゆき、無事発見。

足が攣りそうになるほどの疲労と、せまり来る宵闇に急かされるように処理作業。

いつもの事ながら捜索への私の執念を衝き動かすものは、獲物への執着心からではない。
森の「彼.彼女」達の命の重さを断ち切る引き金を引いた責任からだ。
探し出さずに放置したまま「彼.彼女」達を、夜露に濡れ山中で風雨に晒され野ざらしという、
荒涼とした状況の中に置き去りすることは、
奪った命に対して、もう一度、贖うことが出来ない罪を重ねること。
出来るだけ回収の努力を心がけているが、長い年月の間には、
どうしても見つけてやることが出来なかった事が幾度かある。
いつまでも、そのことが心に残り、何年経ってもその辺りを通るとき、
不意に心が痛む。



やはり「チコ」

先週、あまりの積雪に「チコ」も「クロ」も使わずに、
三名とも久しぶりに「ガンジキ」を着けての狩り。
勢子役の吉川さんが追い鉄砲を鳴らしながら狩って行ったが、
巧みに潜んでいて追い出すことが出来なかった。

そして、雪が少し落ち着いた今日、「チコ」の登場。
猟場に入って十数分ですぐに出し鳴き、つづいて追い鳴き。
それにつづいて、吉川さんの二発の銃声、、開始三十分で終了。

さすがに「チコ」
「一犬、二足、三鉄砲」と言う古い狩猟の格言通り。
「チコ」ご苦労様



雪中に消える命

「淡雪」.「粉雪」.「細雪」.「綿雪」.「花びら雪」.「牡丹雪」、、、、
日常に眠りこけている私の「なにか」を目覚めさせてくれる雪。

「地吹雪」.「暴風雪」.「豪雪」、、、降り止まぬ「雪 、「ゆき」、「ユキ」、、、は、
一転、突如として襲いかかる白い悪魔

何年ぶりかの大雪にすっぽり埋まってしまったジープを掘り起こし、
雪が圧着されて、さながら昭和二十年の頃の道路になったようなガタガタ道を
いつもの「西行法師伝説」の名水汲み場へ出かけた。
これほどの積雪には山の「彼.彼女」達は里山の裾に下りてきているので、
念のためスコープ付きの「サコー308」を携えていた。
やっとの思いで水をくみ終わり、少し回り道を、、、、

ズバリ予想が的中、山裾に牡鹿が立っていた。

急停車、銃ケースを外しながら車外へ、、、
次の瞬間、その気配に「鹿」は160センチほどの金網柵を、
苦もなく軽々と一気に飛び越え山の斜面に駆け上がろうとした。
その見事な跳躍力に一瞬見とれたが、鹿が着地したところは吹きだまり。
1メートルほどの積雪に首だけ残し埋もれた。
充分に撃てる余裕があると安心したところ、驚くことに雪の深さをものともせずに、
バサバサと雪煙を上げながら跳躍を繰り返しつつ逃げて行く。
野生の持つ強靱さに感嘆しながら、スコープを覗き込む。
雪の深さで、首と背中の上部しか見えないのでなかなか狙いが定まらない。
慌てながらやっとスコープの十字に捉えて引き金の指に力をこめる。
銃声が谺し、甘い火薬の匂いが雪の中に立ち込める。
ボルトを操作し、次弾を薬室に送り込む。

倒したと思ったが、確認に行くのに銃を持っては雪のラッセルがでないし、
手負いのままだと反撃される危険を考え、ハンターナイフを持ち現場へ行く。

真っ白な雪の中に青い宝石のような瞳を見開いたまま「彼」が倒れていた。
最後の瞬間、その瞳にはどんな風景が映っていただろうか、、

ポケットから携帯を取りだし仲間に応援の依頼をする。
程なく吉川さん、舛中さんの両名が駆けつけてくれた。

雪は文字通り「森の住人」達にとって「白い悪魔」そして「死の使者」
合掌



独擅場

この猟期は殆ど吉川さんの一人舞台。
獲った獲物の9割まで、勢子で吉川さんが射止める。
私は待ち場で、連絡に耳を澄ませているだけ。

「リュックに道具を入れて現場まで来てくれ」

そして、「強力」の如く装備を担いで登っていく
しかし、この「強力」役も黄昏れて.草臥れて.ヨレヨレ人なので、
まことに頼りないこと、この上ない。
運び出し、、、解体の手助け、、、残滓の埋葬、、、
このようにして今日の狩りも終わる。笑い

さぁー、また、明日から寒波襲来で降り積もった雪の中を、
猟期後半の戦いに挑む日々が始まる。
狩り場が雪原の様になり、遠距離射撃になるので、
これまでの「ブローニング」から、スコープ付き「サコー」に持ち替えての出陣。



堀切の谷底

偶然にも昨年と同じ尾根筋で、 またまた、大鹿を射止めた。
そして、堀切跡のような谷底へ急斜面を転がりながら、
滑落していった。
落ちた場所も前回と数メートルしか離れていない処で、運び出しは不可能。
とりあえず追跡してくれていた「チコ」を確保し、車の中で休息させ、
それぞれリュックの中にナイフ.ロープ.ナイロン袋などを入れて
雪道を現場へ戻る。
谷底で寒さに耐えながら二人で解体作業を済まし、枝肉をリュック詰めにする。
一人、約20キロ近い重さを背負い雪の急勾配を登るのは文字通り「苦役」。
転落しないようにストックを使いながら尾根道までよじ登る。
健脚の吉川さんは平然と歩を進めるが、私は四苦八苦の難行ぶり。
重さに膝はガクガク、、音を上げまいと「ココロ」は激しく揺れる。
やっとの思いで背尾に辿り着き雪空を仰ぎながら、ふと「啄木」の詩が浮かぶ。

「たはむれに母を背負いてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず」

一度も母を負ぶってあげたこともないのに、いま私は頂いた「命」の重さを、
恨みながら雪の中を歩いている。
その「罪」の深さに思いしながら、車まで,、、、

無頼のまま生きて「親不孝」だった私、、、
いや、「無頼」の言葉の奥にある「キビシサ」の「ひとかけら」もなかった私は、
ただの怠惰、、、、、。



韋駄天「クロ」

忍び寄る「老い」には抗い難く、少しずつ狙点が後落するのか、
半矢で無慈悲な手傷を負わせることが増えた。
そんな被害を受けた「彼」は負傷しながら、
その住処にしている小さな山から出ようとせずに、
いつも、私達の包囲網から巧みに逃げおおせる。
そんな「彼」も、三度目の狩りに参加した「クロ」の俊足に屈した。

「クロ」が追いつめて、その支配下に置いている状況が、
生々しく無線機から聞こえてくるが、なかなか場所の特定が難しい。
指向性が強い発信器ではないので、経験が必要となるが、
そこは吉川さん、、直ちに無線機を操作し大まかな方向を割り出す。
そして、その地点に急行し、雪面上の足跡を調べる。
と言っても、
いろんな小動物の跡が、縦横無尽にオブジェ画のように点在する中から、
「クロ」の足跡を特定し、選び出すのはそれこそ至難の業。
普通の人たちは足の肉球が酷似している狐との区別も出来ないが、
吉川さんは犬と狐の肩幅の違いから見誤ることなくクロの足跡を探し出す。
(狐の足跡は肩幅が狭いから直線的に付く)
跡をたどること十数分、、まさに神業的ピンポイント。

一心不乱に「鹿君」を制圧していた「クロ」もいきなり名前を呼ばれて、
ビックリ仰天、、、叱られると思ったのか、急いで鹿君から離れた。

あと、林道の車近くまで搬出し、いつものように吉川さんと、
平成の「杉田玄白」よろしく、手際よく解体。

長い猟歴に裏打ちされた吉川さんの年輪の捜索技に,改めて脱帽の一日。



硝煙の向こう側

レザービーム付き銃を構え、 大鹿を狙撃するMさんの発砲の瞬間。

鋭い銃声と共に靄のように硝煙が立ち込め、
甘酸っぱい火薬の匂いが流れ、「鹿君」の生涯に幕が下りた。
淡い硝煙の緞帳が、生と死が入れ替わる「凄まじい一瞬」を、覆い隠して、
さも、ありふれた日常の風景の一コマのように、、、



金曜日に

犬を使っての狩りは土日だが、
たまたま、あまりの好天気に誘われて銃を背に山歩き。
思いがけず三の叉の大鹿との出会い。
「犬も歩けば棒に当たる」ではないが、
「猟師も歩けば鹿に出逢う」笑い。
吉川さんに携帯連絡し、谷川で処理作業。
ネックショットできれいに仕留めたので、
身も荒れず、血も巧まずして抜けていて、
とても良質の肉で美味しくご馳走になれそうだ。



森の住人との頭脳戦

私達の地方では「巻き狩り」の人数は普通、四.五名、
多いグループは十数名の編成である。
しかし、狩猟の真髄というか「森の住人」との、
駆け引き、、知恵比べこそ、狩猟の究極であると信じ、
そのことを追求し続けている私達は三名のチームである。
その上、ひとりの仲間が所用のため殆ど参加できず、
いつも、勢子の吉川さんとの二人だけの狩り。
二人とも手作りのおにぎり弁当を持ち、森の自然の中を歩くことを、
無類の喜びとする超が付くほどの狩り好きな「腕白黄昏少年」。
それだけに平素から森の「彼.彼女」達の生態の研究を怠らず、
テリトリーとしている狩り場の地形や樹木の茂り方の変化の調査は勿論のこと、
狩りを始めるときは当日の天候などを考慮に入れて、
丹念に打ち合わせを行う。
(前日が雨の場合はいつもと違う場所で寝ている事が多いから)

そして土曜日、二度ほど作戦の読みを外され、
裏をかかれて逃げられている「大鹿君」との再戦を開始。
繰り返し、入念の打ち合わせが的中、予想したコースを、
「チコ」に追われて「彼」が走ってきた。
尾根の獣道に身を潜めて待ち構えていた吉川さんの「ベレッタ」が火を噴く。
麓の待ち場で息を凝らしていた私の耳に二発の銃声、、続いてあと一発、
すぐに無線機から興奮気味の吉川さんの声が流れてきた。
「倒しましたよ。あとの一発は止め矢です」と、、、。
三度目の戦いで、やっと「大鹿君」との知恵比べに勝利

好敵手だった「彼」の成仏を念じ、狩りの終了。



名勢子、吉川さん、、そして迷射手、○○

解禁日には「某名迷射手」が撃ち漏らした。(私ではありません.笑い)
そして日曜日は昨夜来の雨も上がり、吉川さんと二人で狩り。
待ち場が私一人なので、慎重に相談し前回とは違う場所を選んだ。
結果、コワイほどに作戦が的中し、
勢子の吉川さんが尾根筋を狩っていたところ、
「チコ」の慌ただしい動作で、近くに鹿が潜んでいる気配を察知し、
立木に身を隠して発砲の準備、、すぐに「チコ」の出し鳴きと共に、
雄鹿が杉木立の斜面を駈け登ってきたのに対し三連射。
さすが、十月の技能検定に他を圧するスコアーで合格した腕前の吉川さん。
見事、急所を射抜いたが、撃たれ強い鹿で、
500メートルほど離れた私の待ち場まで走ってきた。
すかさず、迷射手を自認する私も発砲したが見事、失中、、
しかし「チコ」が追跡してくれて、咬んで止めてくれていた。
それを吉川さんが無線の発信音で場所を突き止め回収。

舛中さんが解体の応援に駆けつけてくれて、無事に終わった。
黄昏れつつある私にとっては、
とても疲れた2011の狩猟の始まりの一日だった。



作戦会議と言う名の飲み会

2011年狩猟解禁日が間近になり、いつものお店で、
今猟期の大まかな方針と、主として狩る場所についての、
打ち合わせの会合を行う。
気心の知れた永年の仲間なので、すぐ協議が終わり、
長い間、ホテルの厨房で修行を積んでこられたオーナーシェフA氏の
心尽くしの料理をご馳走になりながら、久しぶりにグラスを重ねる。

吉川さん(散弾銃)も、私(ライフル銃)も
難関の技能検定を一回で合格したので気分昂揚、、ついつい、、そして酩酊。笑い

後、数日で、また杣人暮らし。
松籟に耳を澄ませながら、銃を携え森の自然の中を歩く。
腕白少年の日々にかえる三ヶ月。



有害駆除へ

森を住処とする「彼.彼女」達にとって私達狩猟者は、
銃という圧倒的なパワーを持つ、不条理な死への使者、非情の虐殺者である。

その事の「畏れ」をいつも心に抱きつつ、今年最後の駆除へ単独猟。
私に出来ることは、せめても余分な苦痛を与えないように、
ネックショットで黄泉の世界に葬ること。

それにしても暗鬱な作業。



「沈黙の春」
レイチェル=カーソン著

某閣僚の発言が物議を醸し猛反発を受けている。
被災者の心情に思いを至らせない軽率さではある。
しかし、H氏の人格を全否定するほどの事なのだろうか。
「死の街」という表現は現在の状況の悲惨さを
的確に言い表していると思うのだが、、、、。
ただ、自身の置かれている大臣という立場を
わきまえない視野の狭さと浅慮と語彙の貧しさが、
ハイエナのような「マスゴミ」の絶好の「餌食」にされたと思っている。
ジャーナリズムとしての節操と矜持を
とっくの昔に体制側に売り渡してしまった「彼」たちには、
いくら云っても虚しいだけだが、言葉の揚げ足取りにすり替えることによって、
放射能をまき散らし、国土を破滅に追い遣ろうとしている「元凶」達の、
責任を隠蔽する役目をしてることに良心は痛まないのだろうか。

原発事故も悲惨であるが、それよりももっと広範囲に全地球的に
深く静かに危機的汚染が広がっている有害化学的物質の恐怖こそ、
人類の存亡を掛けて改めて議論を呼び起こす必要があると思う日。

H氏も「沈黙の春」を熟読されてをれば、「死の街」という表現ではなく、
とっさに「沈黙の街」という「言葉」がでたかもしれませんね。
そうすれば、記者と称するイヤシイ連中に口実を与えずにすんだでしょう。

今からでも遅くはありませんので、是非ご一読を。
併せて「複合汚染」有吉佐和子著もどうぞ。

 

老兵、未だ消えず

最高気温が35度に達する炎暑の八月の一日。
ライフル銃の技能検定を受講し、首尾よく合格。
合格率3割程度と云われていた難関の実技も
愛銃サコー.フォレスター308で合格点のダブルスコアー以上を撃つ。

当市からの合格者第1号とかで、所轄署の担当者がとても喜んでくれて、
面はゆい思いをしつつも、大いに面目を施した。

講習終了証明書を手にしながら、あらためて、心を引き締めつつ、
狩猟人生最後の日まで、事故のないようにと、自身に言い聞かせている。

さぁー、あと二ヶ月と少しで狩猟解禁。



ゆきあいの空

猛々しいほどにもり上がっていた入道雲も消え、
淡く儚げな雲が流れて、いつしか秋の空。
未練気に去りかねる夏と、待ち侘びていた秋の二つの季節が、 
せめぎ合っているような今日の空。
私の躰の中では情熱の残り火と、老いという妖怪との最後の戦い

雪景色の冬が終わり、花さき鳥うたう春が行き
灼熱の夏も燃え尽き、もの思う愁いの秋、、四季、、春夏秋冬
私の人生の「春夏秋冬」は、すでに二度と、めぐり来ることのない、「晩秋」
さて、残り少ない人生の季節を、自由に、無頼に生きて行く

秋風、行きたい方へ行けるところまで
山頭火



オールド.ボーイ奮闘

暑さにもめげずに、練習のため三度目の射撃場行き。

射撃専用銃であれば、もう少し撃てる思うが、
実猟銃で引き金の重さも危険のない程度の調整で、
現在の自分の「腕」ではこの程度かな
合格が40点以上だから、まずまず。


ライフル銃所持許可更新の技能検定

銃による悲惨な事件が相次いだために世論を受けとめる形で、
法が改正され所持許可条件が非常に厳しくなった。
ライフル銃に関しては、所持者が激減すると云われている。(二三割程度に)
私の周囲でも数十年に渡り狩猟や有害駆除に従事してきた仲間の多くが、
怒りに似た口惜しさと無念さに涙しつつ、愛銃に別れを告げている。
銃の取り扱いのルールやマナーはどんなに厳しくなっても当然だし、
そのことに対しての異論は全く聞かないし、私自身もない。
しかし、最大の難関である技能検定の基準には大いに疑義がある。
殆どの受講者は狩猟者であり、射撃能力の当否を計るのならば
ランニング.ターゲット(猪や鹿の移動する画の標的)を撃たせるのが、
ごく当たり前の方法と思うが、まるで射撃選手の技量審査の如く、
50メートル先の固定標的(直徑.16センチ.黒点11センチ)を、
伏射.膝射.立射の何れかの姿勢で撃ち、合格基準点を競うことになっている。
ライフル所持者はおしなべて高齢のものが多く、自然の摂理で視力の減退は、
否めない現実で、急遽、ほぼ全員がスコープを購入装着し練習射撃をしている。
(スコープ購入代金.射撃練習用実包代金.射撃場費用.受講代金など経済的負担も大きい)

そんな風潮に持ち前の天の邪鬼な性格が頭をもたげて、
周囲の仲間たちに呆れられたり、無謀だと忠告を受けながらも、
オレはオープン(スコープなしの裸眼)で挑戦する、、それが「男の美学」、、、と宣言。
射撃場の指導員にも首をかしげられながら、とりあえず射撃場で練習。
過去、クレー射撃は日本クレー射撃協会の会員でもあり、
それなりの練習も重ねてきた自負を持っているが、(いまは引退)
実のところライフル射撃についても、一応、正式に習ったことがある。
しかし数十年もの遠い日々のことで、基本は微かに意識の底に残っているが、
細部については記憶が殆ど薄れてしまっていた。
蔵書をひっくり返し古い射撃教本を取りだし、一夜漬けの勉強。
一日数時間、イメージトレーニングを繰り返しつつ射撃姿勢を作り上げ、いざー出陣。
射撃場でオープンサイトで教習射撃をした者は少ないないと懸念を示されつつ、
猛暑の中の半日だった。
こんなに緊張と集中の中に身を置いたのは何十年ぶり。

立射と膝射で30発の練習射撃、、当たったかなー、、当たらなかったかなー

とりあえずオープン射撃で、かなりの余裕を持って基準点は超えた。

さて、受講日当日、スコープを付けるべきか、、、否か、、、

ハムレットの心境の「オールド.ボーイ」の2011の夏



朋(とも)あり遠方より来(きた)る、亦楽しからずや。

春かぜに 花ひらく かの人の来るらし
春かぜに 花ぞ散る かの人の去りゆくらし

「思い出」とは、記憶と忘却との間で揺れながら、
しばし佇んでいるもの。



ドイツ軍、コマンド.セーター

狩猟の衣類は殆ど軍用のものを選んでいる。
それぞれ過酷な条件下での使用を想定して作られており、
驚くほど丈夫で、寒さや風雪雨にも機能を発揮してくれる。
そして、なによりも安価である。
下着はモンベル社の冬山登山用のものを着用しているので、
どのような気象条件でも不安なし。

心に纏うものは、何事にもたじろがない強靱さと、
少年の日から持ち続けている男の浪漫の夢衣(ゆめごろも)。



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