「うずのしゅげ通信」

 2024年5月号
【近つ飛鳥博物館にて】
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一推しの脚本(続)

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私俳句「ブラジルの月」(pdf)
私家版句集「雛の前」(pdf)
2024.5.1
一推しの脚本(続)

この文章は2024.4.1号と同じ内容です。一推しの作品を紹介したくて、つい無精してしまいました。
あしからず、ご了承ください。


『賢治先生がやってきた』で公開している脚本の一推しランキングを考えてみました。 このホームページの中では学校種別で分類していますが、そんなことは考慮せずに、すべての脚本の中で、 作者としての一推しの作品を選んでみることにしました。作品として力を持っていると思える脚本、上演するに あたってかなり力技を要する脚本、そのようなものを選びました。上演にあたっては一言一句をそのままにということはなく、 力技というのは、状況に応じて改作することも含めての努力がいる、ということです。 興味のある方は覗いていただけたらと思います。


1,『地球でクラムボンが二度ひかったよ』

2、『地球でクラムボンが二度ひかったよ』(改訂版)

3、『地獄百景亡者戯もどき』

4、『竈猫にも被爆手帳を』

5、『賢治先生がやってきた』

6、『ぼくたちはざしきぼっこ』

7、『3・11 宮沢賢治インタビュー』

8、『賢治花壇』

9、『「銀河鉄道の夜」のことなら美しい』

10、『ぼくたちに赤紙が来た』


ほとんどが、すでに上演されています。まだ、上演されたことがないのは、
3、『地獄百景亡者戯もどき』 
9,『「銀河鉄道の夜」のことなら美しい』
の二つの脚本だけです。どこかで上演していただけたら幸いです。


2024.5.1
フェイスブック


〈2024年4月11日ににフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

飛花密につまづきたるは風の所為(せい)

二上山(ふたかみ)越えに春宵の瀬戸ひかり凪

飛花落花顔吹く風を怖がる子

こちらでは桜がさかんに散っています。 二句目の「ひかり凪」という言葉は、石牟礼道子の次の句を本歌取りしたものです。

さくらさくらわが不知火はひかり凪 石牟礼道子

石牟礼さんは、「苦海浄土」、「西南役伝説」などすばらしい作品を遺されましたが、また俳句や短歌も詠んでおられます。
この句など、やはり情が籠もっているからでしょうか、一度読んだら忘れられません。
私は、十年以上二上山を越えて職場に通っていました。仕事の帰り、たまにですが、 竹内峠を越えるあたりから、はるか彼方に瀬戸内の海が望めるのです。 鳴門海峡大橋あたりの海が沈む夕日に向こうから照らされて、 空気が澄んでいてタイミングが合えばその反射が見えるのです。
夕凪のそんな海が見られた日は、それだけで仕事の頭がさっと拭われて、幸せな気持ちで帰宅できたのです。
それこそ一年に数回の僥倖でした。」

〈2024年4月2日にフェイスブックに投稿したものです〉

「今日の拙句です。

尾根伝ひ高貴寺までの蕨かな

ぢだんだはおのづからなり地虫出づ

野に科白ひとり読みする薊かな

  (免許更新時、警察で顔認証されて)
顔認証烏にせらる四月馬鹿

春の陽気にうらうらと物思うこと。
あちこちで顔認証が導入されています。でも、個人の認証というのはそれほど厳密にやらないといけないことなのでしょうか。
社会にはすこしゆとりがあったほうがいいのではないかと思うのです。
ゆとりがあってもそんなに不都合はないのではないですか。これまでそうやってきたのですから。 厳密性はたとえば徴兵制を敷くときとか、そんなときに必要なんでしょうか。要するに市民の管理に。
年寄のたわごと、後期高齢者の杞憂です。」


2024.5.1
俳句


〈2024年4月にフェイスブックへ投稿した拙句です。〉

尾根伝ひ高貴寺までの蕨かな

ぢだんだはおのづからなり地虫出づ

野に科白ひとり読みする薊かな

  (免許更新時、警察で顔認証されて)
顔認証烏にせらる四月馬鹿

能登の真鰯骨ごと喰ふ桜の夜

飛花落花天使は足裏(あうら)のみ見せて

  (弘川寺の西行墳)
明滅の飛花を灯になぐさみに

このひとひらを地に置く意味や飛花落花

崩壊は確率がらみ花爛漫

飛花密につまづきたるは風の所為(せい)

二上山(ふたかみ)越えに春宵の瀬戸ひかり凪

飛花落花顔吹く風を怖がる子

  (叡福寺にて)
右たゑまそれより読めぬ花疲れ

  (Y氏来る)
筍とわが身の辛さぶら下げて

杖を頼りに母は座敷の遍路かな

つちふるや散骨と言ふ別れ方

  (筍を贖えば)
筍のおまけに糠と鼠(ねず)の糞

花屑の手触りなどを所詮無用者

蜘蛛に過(よぎ)られわれは何者目借時

ぬれそぼつたんぽぽのわたけふは不時着

八十嫗(やそおうな)漢詩投じて夏みかん

  (近つ飛鳥博物館(安藤忠雄設計)外周の歩廊)
歩廊の壁に拍手響かひ山笑ふ

  (「おたひらに……」)
おたひらなれば己かたむく著莪の花

蓮如名号おぼろにまぎれお仏壇

飛花まつはるやスティグマといふ言葉

芍薬の根分約して暮れ残る

芍薬やしふねき蟻は蕊にもぐり

朱筆より目守りてけふの白牡丹

白牡丹奥処に癖む木の風情



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