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組織修復期間の目安

教科書にはのらないマメ知識といいつつ、今回は載っていたマメ知識です(汗)。ただあまりきっちりまとめられた文献が少ないので、現場での知識として参考になればと思います。

組織 期間(成人)
皮膚 1週間
筋肉(軽症) 2〜3週間
筋肉(重症) 2ヶ月
2ヶ月
靭帯(軽症) 2ヶ月
靭帯(重症) 6ヶ月
2〜6ヶ月
神経 6ヶ月

【参考文献:スポーツ指導者のためのスポーツ外傷・障害】

●皮膚の損傷
皮膚は外界のあらゆる刺激から生体内組織を保護するバリア機能の役割があり、皮膚の損傷によって皮膚表層にある雑菌や外界の病原菌などが容易に生体内に侵入します。皮膚そのものの組織修復にはおよそ1週間程度が目安といわれています。

●筋・腱の損傷
直接外力によって損傷する場合と過伸展されて筋線維や腱が断裂する場合とがあります。筋肉は血管豊富な組織であり、「血液を含んだスポンジ」と考えることが出来ます。筋肉の損傷の多くは内出血を伴い、細胞が破壊されることによる炎症反応も強いです。

初期のRICE処置が不完全であると損傷部位の瘢痕(はんこん:傷跡のようなもの)化が生じ、筋力の低下、柔軟性の低下などがみられます。軽度の筋損傷でも2〜3週間の修復期間が必要であり、早い段階で運動を開始すると損傷部にカルシウム沈着を生じることがあるので(骨化性筋炎)注意が必要です。

●靭帯の損傷
靭帯が損傷されると、靭帯全体の強度は低下します。引き伸ばされた部分はゆるみを生じ、損傷された部分は瘢痕組織にかわり、もとの強度を失います。捻挫を繰り返すことで靭帯は組織も強度も失って関節の不安定性を増大させるのです。

保存的に治療を行う場合でも靭帯損傷の修復に最低6〜8週間の固定が必要とされています。関節動揺性が非常に大きい場合は手術によって靭帯を縫合、再建することが確実であるといわれています。

●骨の損傷
外傷時の痛みは骨(正確には骨膜)に由来する痛みが最大といわれています。骨の構造が正常に戻るまで競技再開はできません。骨癒合の比較的早いとされている鎖骨や手の中手骨でもその治癒に最低でも2ヶ月を必要とします。骨折の診断はレントゲン検査による確認が必要ですが、外傷時は常に骨折を想定した応急処置が望まれます。

●神経の損傷
四肢外傷時に末梢部にしびれや皮膚感覚の低下などが存在すると、神経損傷があると考えられます。運動機能が正常であれば、数週間で皮膚感覚は正常に戻りますが、その間にも筋力低下は起こっています。まったく皮膚感覚が消失している場合は、神経が強く挫滅されているか、神経が断裂している可能性が高く、挫滅の場合は、神経機能が回復するのに6ヶ月程度かかるといわれています。

 

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