和菓子歳時記  
       

季節の和菓子 
秋 十一月

   栗粉「桐一葉」                  薯蕷「そば薯蕷」  

時雨「柚子」                                            

 








栗粉もいよいよ終わりに近づきました。
もう生栗の今年分の収穫はありません。
もし、年中あるとしたら、それは、缶詰の栗か餡に加工し冷凍保存したものです。
一年中、何でも手に入る時代ですが、四季を大事にする和菓子はメリハリがなければと思います。

 親父は特にこだわっているようで、「おはぎ」もお彼岸まで、「月見団子」は中秋の日だけ、「粽」も3日間だけと徹底してます。もう一日延長すれば売上が増えるのにと思っても駄目です。
 その辺は、お客様もご存知で、その日めがけて集中します。

 「桐一葉」は栗粉で作りました。このお菓子は茶席などで使われると、ちょっとした驚きがあるそうです。
 それは、多くは型抜きで作られるお菓子が多い中、手にした一瞬は気がつかないのですが、表面の文様はシャープに出ているにもかかわらず、全体はいびつ(無造作)に手の跡もあり、これが型抜きでないと判ったときの意外さです。
 機械や型抜きの画一的な形でなく、自然な不ぞろいが面白いと言うことでしょうか。

 「そば薯蕷」は今年出来た「そば粉」と伊勢芋から作ります。いわゆる「薯蕷饅頭」(じょうよ)のバリエーションです。そば粉を入れなければ、真っ白な「薯蕷饅頭」と言うわけです。
 
 白い饅頭と言えば色々種類がありますが、「薯蕷」は一番高価な饅頭です。
メリケン粉(小麦粉)でも安価に白い饅頭は出来ますが、一日たてば硬くなってしまいます。
 薯蕷は山芋(つくね芋や伊勢芋)を臼ですりこぎ、粘ったところで他の材料と混ぜあわせ生地をつくります。
 餡を入れ時間を掛けて丁寧に蒸しあげます。

 法事などの仏事で良く使われます。予約なしで大量には絶対に作れないお菓子です。もし、あるならば沢山の従業員さんを雇っている大きなお菓子屋さんで何ヶ月も前に大量に作って冷凍保存し解凍して蒸したものです。
 作り立ての「薯蕷饅頭」を見つけるのは今の時代至難かも知れませんが、根気よく探せば、どの町にも一軒はあると思いますのでぜひ違いを食べ比べてください。
 
 先月紹介した「柚子」が少しずつ黄色くなってきました。

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