腱鞘炎ノート

For All Patients Who Are Troubled With TENDINITIS.
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ここでは、KAZUMI姫さんより掲示板にいただいた腱鞘炎経験談を
ご紹介します。労災など、桜が経験できなかったことについても
書かれていますので、労災をと考えておられる方は参考にしてください。
ただ、ここについての質問は桜ではお答えできませんので
悪しからずご了承ください<(_ _)>

経験者の話:労災について

 

私も昨年の8月から腱鞘炎でずっと苦しんでます
私はMAC(マッキントッシュ)オペレーターの仕事を5年していて、痛む前の日までは普通の状態で、手のことを気にしたこともありませんでした。丁度お盆休み前、気もあせっていたのか、理科の問題集に載せる細かい生物のイラストをMACで描いていて、突然手に激痛が走りました。多分手に負担がかかる生物(細胞の図とか)の点描を続けて描いたのが一番の原因だと思われます。ひたすらクリックすること2日間。今思えば信じられないくらい手を使ってしまいました……。理科の図の仕事は手が痛む何ヶ月も前から専属で1000点ぐらい描いていて、それプラス自分の担当している広告や新聞等の仕事もしていたので、手はかなり使っていました。でも激痛が走るまでは、ちょっと疲れたな〜くらいで終わっていました。
激痛が走った日はまさに地獄で、帰りの電車の振動が神経をいらつかせ、とにかくつらくてつらくて座っていることもできず、立ったり座る位置を左右に変えたりしながら、痛み疼く右手をじっとつかみ耐えながら帰りました。家に帰った瞬間「もう仕事できないよ〜」と半泣きで家族に訴えるくらい、ショックと痛みはひどかったです。
その後お盆の中病院にかけこみましたが、いきなり上半身のレントゲンを撮られ、腰に神経ブロックの注射を打たれ、栄養剤の入った点滴、そして湿布と痛め止めの錠剤をもらいました。その時、なぜ手のレントゲンは撮らないのか…なんてもっともらしい事を思いましたが、医者は背骨や首のゆがみを気にしてるようでした。(実際背骨や首は問題なかったようです…)
お盆休みと合わせて一週間、休みをもぎとり、整体にも通いました。それなりに痛みと神経のいらつきがおさまったので、会社に行きましたが、2日目にまた痛くなってしまいました。それから3ヶ月仕事をだまし、だまし続け、毎日リハビリのマッサージに通い、週一で注射を打ち、湿布をはり、テーピングをし、毎日をひたすらしのいでいました。が…もう頭の中が一日「手が痛い、痛い、痛い」とそればかりで、とても仕事を続けられる状態じゃなかったので、12月で退職し、今は休養しています。はじめは右手の腕と右親指の下あたりが痛かっただけなのに、無理して仕事続けて1ヵ月後手首と腕のつけね側が、そして2ヵ月後左手が痛くなりました。腱鞘炎は無理するとだんだん範囲が広くなってきているのが分かって怖くて怖くて寝れない日もありました。特に右手首は腱が伸びきっているようになって、手首がはずれてどっかいきそうになるくらい、力がはいらなかったです。お箸もつらかったので、仕事で右手使う以外はすべて左手にしたのがやっぱまずかったですね〜。でも人間利き手じゃなくても鉛筆以外はなんとかなります。いまやハミガキやマウスは左です。
会社で負傷したんだからと「労災」も申請しましたが、ダメでしたね。会社も労災担当も病院側も通るんじゃないか〜とのことだったのに現実はきびし〜。3月に通知がきたので、申請してから半年たたないと結果ってわからないものなんですね〜。腱鞘炎って仕事上の負傷に入らないですかね。
日常生活はまだ痛みが残るものの、手に力は入るようになったので、再就職を考えたりしますが、MACオペレーターの仕事かそれ以外の全然関係ない仕事にするか迷っています。経験者優遇のMACオペレーターの求人は結構いろいろあったので、それはそれでいいのですが、「再就職してもまた手が痛んだら…」(それでなくても今もまだ痛みとれてないのに…)と思うと二の足を踏んでいます。でも印刷の仕事をしたいので、あせらずもう少し経過を見守って、それからにしたいと思っています。それにしても今でも右手の患部が火照ったり、痛むとは…。腱鞘炎とは永〜〜くつきあっていかなくてはならないようで、ちょっとうんざりしていますが、改めて手が普通だった頃はどんなだったかな〜と普通でいたことのありがたみを思ったりもします。
体力作りもストレッチしたり、水泳教室いって泳いでいます。会社勤めしていた頃より健康で柔軟になった気がしますが、手はなかなかよくならないです。
早くお互い完治して、手の痛みをまったく気にしない生活に戻りたいですね。腱鞘炎の苦しさを相談できる人もいなかったので(心配してくれる人はたくさんいましたが)ちょっと気持ちの整理になりました。腱鞘炎をかかえ仕事を続けるというのはかなりつらいです。ますます手も痛くなるし、範囲も広がっていく。医者の理解も少なかったし…。仕事のみならず日々の生活もつらいし…。仕事辞めてから、やっとシャワーでなく湯桶で湯を汲めるようになったし、ちょっとした荷物なら右手で持てるようになりました。少しづつでもよくなるようになれば…と願っています。


以下、労災について。
労災を申請したのは初めてでしたが、以外と時間がかかるものだと分かりました。申請してから、私の場合半年です。腱鞘炎は仕事が直接原因で負傷したか、そうでないのか非常に分かりにくいので審査や調査によけいな時間がかかります。普通の手を切ったとか、ぶつけたという、「明らかに労災だ」と分かりやすい負傷の場合はもっと早く済むようです。会社と相談して、用紙をとりよせ、病院と相談して申請しました。これは労災でいくと決めたら早い方がいいです。次の月になると社会保険で処理されてしまって、かなり面倒になります。(実体験ですが…)
そして治療費は労災申請したら、とりあえず払わなくてよくなります。保険がきく病院だけです。無保険の整体などは実費で労災では保障されません。(医師の指示のもとによる治療は認められることがあるそうです。)
ここで0円だと喜んではいけません。労災が不支給になった場合、治療当時の保険(社会保険だと2割負担)で全額支払いしなくてはなりません。ちなみに病院と薬局が分かれているところは別々に申請して別々にお会計をします。労災が通るか通らないか待っている間、治療費を払わないので、1回いくらかかったのは分からないのが1番のデメリットです。私の場合途中から、リハビリが値段の高いコースになっていて、ビックリしました。説明も何もないし、高いコースに変わったことも気づかないくらい、前の治療と同じだったと思います。できたら、1回ごとにメモ程度でいいので、受付で確認しておくといいと思います。治療の日はカレンダーにつけ、治療内容もメモっておいた方がいいです。なんせ労災でいくとなると領収書、レシートはでなくなりますから。(お金払ってないので当然ですが…)とりあえずタダだから、と病院にまかせっぱなしにしておくのはよくありません。全額支給されると決定されるまでは、少なくとも記録をつけた方がいいです。
また、腱鞘炎の場合は右手だけだったのがやがて左手も…なんてことがありますが、治療をはじめた当時の右手しか病院は治療できないし、複合的に他の治療(ついでに肩こりや腰痛など)と合わせることもできません。左は治療できないって言われるかおそらく実費になります。労災は治療内容ひとつひとつ、かなり細かく(薬剤のひとつひとつまで)チェックします。レセプトも大量でした。労災申請するなら、会社で直接負傷した、この部分だけ、とかなり限定されます。

休業補償も労災が通らないと1円もでません。また、有給などで処理した分もでません。これも病院の指示で休んだかどうか証明がいります。(私は休業した分は申請しませんでした。)
そうして、8月に病院にかけこみ、9月に申請。12月と1月に労災担当者と面談。4月に不支給通知…。という長い道のりでした。その後すぐ病院と薬局に全額こちらからさっさと払いにいきました。私の場合は合わせて3万弱でした。1日ごとのかかった費用の明細を受付にあらかじめお願いしておいたので、自分のおぼえ書きと比べて、リハビリ代途中から倍以上になっているのはなんで…!!となったわけであります。看護婦さんに問い詰めましたが、もうレセプトがこうなってる以上しょうがないので、そのまま払って帰りました。1回ごとに金額を聞いておけば、こんなことにはならなかったな…と身にしみて思いました。
そんなこんなで今に至ります。
退職する前に行った病院が最後で、その後は病院に行ってないので全部社会保険負担(2割)で終わったのが唯一の救いでした。あと失業手当を職安で申請する方は労災で治療費もっていると、その事申請しなくてはなりません。失業後病院に行ってなくて、これからも行かなければ、関係ないそうです。質問用紙に記入する時に確認が必要です。

まとめ

1 申請が認められるかどうか分かるには非常に時間がかかる(数ヶ月〜半年くらい)
2 会社が協力的じゃないと大変(申請するにも、会社の了承がいるし、労災担当者から電話をとりついでもらったり、面談も仕事時間をさいてやるので、理解がないと無理)
3 病院の記録はきちんととる(いざ全額支払うことになった場合泣く…)
4 腱鞘炎は非常に認められにくい(認められない前提で申請するくらいの気持ちで)
5 労災は精神的にとにかく大変なことだ(会社や病院にえらい手間をかけさせたような気がして心ぐるしい時もある)

……と労災の話はこんな感じです。
一番なのは腱鞘炎にならない予防と早期に治療、休養することです。これが仕事が原因で腱鞘炎になった人にはかなり難しい。ひどくなってから会社を辞めても遅いので、1,2週間様子みて英断すればよかったと私は後悔しています。やってみなくちゃわからない。でもわかってからでは遅すぎる。何でもそうですけど、手は一生使うものなので、見切りは大切だと思います。だから、私は仕事を辞めたのはとてもくやしかったけど、後悔してないです。これからのためにも、今は治すことを一番に考えています。

*** 桜より ***

当サイトを訪問された方から労災申請について書かれた記事についてご紹介を受けました。皆様のために役立てなさいというお心だと勝手に解釈し、本館更新となりました。
http://www.asahi-net.or.jp/~RB1S-WKT/qa3322.htm
これは98年の記事ですが、少しづつ職業上の使い痛みが労災認定されるケースが増えてきているようです。労災認定は、勤務中に明らかに勤務が原因で起こった外傷(現場の事故や、機械での事故、通勤中の事故など)では比較的認定されやすいですが、長い間かかって使い過ぎで悪くした場合、「明らかに勤務が原因で起こったとは証明出来ない」という理屈で認定されないことが多かったのです。ただ、最近鬱、過労死などが認定されるケースも報道で見かけますので、そういうことも追い風になっているかもしれません。
とは言っても申請には雇用者側の協力が必要で、人間関係上あまり強く言えないとか、労災認定すると解雇できない、休業補償しなければならない、などの理由から認定を歓迎しない雇用側の都合もあるようです。いずれにしろ黙っていても誰も助けてはくれません。声を挙げなければ自分に利する結果はどんどん遠のいていくのです。
また、認定するのは労働基準監督署ですが、この認定の基準としてやはり医師の診断書が切り札になるようです。医師が「その仕事はここの部位をよく使うので、だからこういう障害を生んでるんだよ。治すには最低〜週間の休養が必要だよ」と明確に、客観的に、それこそ主治医がよくやる解剖図でも書いて(笑)証明してくれたら、「そうか、仕事が原因なんだ」と監督署の人だって思いますよね。医師が病気とその原因をよく理解して患者の側に立ってくれることが、大きな支えになります。…って、「腱鞘炎と医者」のページ書いててそれ言ってもねえ、なんですけどね…(T_T)
でも、上のリンク記事には、大阪の話ですが、相談先のリンクや職業病を研究してる社会医学研究所などのことも載っています。味方になってくれる人はきっといると思いますよ。

2007年11月吉日 桜拝