腱鞘炎ノート

For All Patients Who Are Troubled With TENDINITIS.
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ステロイドの副作用

 

◆その前に先ず、薬の副作用というものについて話します。
“効果と副作用の天秤”という考え方は元々は主治医のものです。
(正確には「薬は効果と副作用のバランスである」と言っていた。)
医師である以上副作用を覚悟して薬を使わざるを得ない時の指針なのでしょう。
副作用のない薬は事実上ありません。副作用は効果なのです。
薬がもたらす結果のうち患者にとってありがたい物を<効果>といい、不要なものや迷惑なものを<副作用>と言っているのです。

そして人と薬には相性があって、この人とこの薬の組み合わせでどんな効果が得られどんな副作用が出るかは、実際に組み合わせて見ないと(つまり使ってみないと)判らないそうです。
これらのことはこれまであまり知られて来ませんでした。患者は長い間薬を信じ過ぎ、医療者は患者に伝えてこなかったのです。病院へ行って症状を話すとその1つ1つに薬が出され、何の説明もなく何が何に効くかも判らず、とりあえず山のような薬を飲むという治療法が長く続けられてきました。
現在では考えられませんが、20年前は自分が飲んでる薬が何に効くのか調べる方法はなかったのです。当時の薬には包装紙に商品名が書かれていず、本もネットも情報がまるでありませんでした。医師に聞こうにも患者は医師に質問などしてはいけないことになっていました。平身低頭でおかみのなさることを拝受するってこんな調子ですから副作用の説明など言うに及ばず、患者の方も薬を飲めば治ると思ってて薬が出ないと不満に思ったり。薬漬医療と言われた時代の話です。ステロイド薬害もこういう時代背景の下生まれたのです。
おそらく今現役のお医者さんにはそういう方は少ないと思います。少なくとも私はお会いしたことありません(各学会の長老みたいな人たちは分かりませんが^^;)

◆ステロイド剤の副作用
生体のホルモンは非常に微量で働き、他のホルモンと連動したり、拮抗しながら特定の役割りを担っています。ステロイドホルモンの働きは先の免疫抑制、抗炎症の他に糖や脂肪、骨、蛋白質の代謝、電解質のバランスなどなど、色んなことを体のそこかしこでやっています。勿論よくは知りませんが(笑)。体内で間に合ってるものを、しかも微量でいいものを外から与えて増やすことの影響は、素人目にも小さくない気がしますけど。
ステロイド剤の副作用は非常に多様ですが、大きく全身性と局所性に分けられます。

▽ネットで仕入れた知識の受け売り
全身性は、副腎の機能低下、糖や脂質・蛋白質・電解質などの代謝異常…これはステロイドが体内で広範囲に担ってるすべての役割に関与するのでしょう。骨折しやすい、血圧が上がる、糖尿病、その他諸々。
ある男性患者は体が女性化し性欲も減退したそうです。(プレゾニン7.5mg〜10mgを10年以上服用)
局所の場合は使った場所の感染症(免疫力低下による)、毛細血管拡張、皮膚炎、多毛、色素脱出・沈着、皮膚萎縮…など。

▽自分で経験したこと
薬名は忘れたけどある注射でほんのちょっとだけ皮膚が白くなったことと、最近2年ぶり2回目のケナコルトで色素沈着と皮膚の異変を見ました。
ステロイドホルモンの働きの一つに抹消の蛋白質をアミノ酸に分解して血中に放つ仕事があるそうです。ケナコルトを2回打ったところは黒ずんでシワシワ、ザラザラになりました。触ってると真っ赤になってお湯につけるとヒリヒリしたり。皮膚細胞の新陳代謝が妨げられて皮膚が薄くなるのかもしれません。でも2ヶ月ほど経った頃には少しひいてきたように思います。薬の効果が薄れてきたってことですかね。これだけ見ても副作用はわりと頻発するんだなって感じがします。(あくまでも注射剤の話です)
でも頑固な腱鞘炎の痛みが随分と軽快しました。

私の天秤は腱鞘炎の痛みよりは色素沈着や皮膚のざらざらを選びます。
Tでご紹介した喘息の身内はステロイド吸入剤を入れた後嗽をします。口腔内に残ってると免疫を抑制して口にカビが生えるんですって。こちらも喘息の発作より嗽やカビの方がやっぱりマシですからね。
ただ腱鞘炎におけるステロイド注射の副作用として私が聞いた中で、これだけは【効果<副作用】だと思うものは、“腱が切れる”です。蛋白質を分解して腱が萎縮するのか??
厄介なことにどの薬をどれだけの量、どれだけの頻度で使えば、どんな副作用を呈するか、ということは検証されてないそうで、自分の場合は自分で見つけ出して行くしかないようです。どっかのサイトで「治療はオーダーメードである」という一文を見ました。人間にはそれだけ個体差があるのですね。当然ケナコルトで何も起こらない人も大勢いるのです。必ずナニが出るって解ってたら話は簡単なのにね〜、ってお医者さん達もそう思うんでしょうけど、何をしても結局は自分(患者)に還って来ますからねえ。

因みに、桜の同じ場所にステロイドを打つ頻度は1年に1回とか2年に一回です。集中治療って感じで同じ場所に1ヶ月後に追いかけて打ったことが一回だけあります。最初のが芳しかったので広い患部の反対側に打ったのでした。そして同じ場所に打った回数は多くても4回くらいだと思います。あまりに続くようだったらいつか手術って、自分も主治医もどこかで思ってました。そうならないための日ごろの自己管理とアドバイスだったのです。(治療のページ参照)


使用上の注意

 

桜は注射なのできちんと量を管理してもらってますが、経口剤や軟膏など自分で使う場合副作用を恐れてチビチビ使ったり、勝手に量を減らしてはいけません。
充分な抗炎症効果を得られず副作用だけが生じたり、突然減らすと体内のステロイドホルモンが足らなくなったりします。
必要以上に恐れすぎないこと、適当な場合に適当な量を使用すること、よく経過を医師と共に観察すること。あとは、生活習慣や環境などを変えることでステロイド離脱できるんであればそれに越したことはないので、ステロイドに依存する割合を肥大させないよう考える、等々。
元々即効性のある薬ですから、使い初めに変化と経過をよく見極めた方がいいんじゃないかと思います。ダラダラと使ってるとどこまでが病気の症状でどっからが副作用か判らなくなりますから。
そしてもう何度も言ってますが、ちゃんと対話の成立する関係を医師と築くこと。お医者さんの中には口の達者じゃない人もいますから、ヒアリングは協力的に。特に若い医師はあまり追い詰めないように(笑)
あとは医療現場で患者からのヒアリングをきちんと吸い上げ、自分の経験だけで判断するのではなく、専門家間で知識と情報を共有して欲しい。
起こりうることは確率が低くても聞きたいですね。1%なら自分が100人に1人だったのだと思える。
ちょっと話が逸れますが、たまに行く皮膚科でこんなことがありました。抗生物質を処方してもらう時
「これはよく効くんだけど10人に1人くらい副作用が出ます。気分悪くなったりとか。どうしますか?別のにしますか?」と言われ、私はすごーく迷った挙句よく効くそれを使うことにした。
「もしその1人になったらどうするんですか?反応が出るのはいつ頃ですか」と尋ね
「出るなら2、3回飲めば出ます。出たら薬を替えますから来て下さい」と言われて帰る。
確かに翌日ぐらいから平衡感覚が狂うような微妙な症状が出た。10人中1人になったのかは不明だが、予め言ってもらってたので慌てず様子を見て過ごした…というものです。
きちんと説明を受ける以上、患者側にも理解と、使用や結果に対しての責任が発生すると思います。治療がオーダーメードであるという言葉を借りれば(これ著作権違反かなぁ?いい言葉だからお借りしてます。すいません;)、当事者である患者には当たり前のことではないでしょうか。
…とまあ、この章ではあんまり有益なことが言えませんねえ。自分が特になんも注意してないもんで。
翌月「どうやった?」って聞かれた時ちゃんと報告できるように、経過を見て「これは言っておこう」とかって憶えておくようにしてます。患者の身に起こったことは患者にしかわからないので、せっかくの臨床(?)データですから先生を介して他の患者さんにも活かして欲しいもんね。

〜余談ですがタミフルの使用禁止騒動で思ったこと(子供が飛び降りるとかの)。飲んだ時の効果とリスク、飲まない時のリスク、今判ってる材料を全部並べて、それに医師の見解を添えたら後は患者が自分の都合に合った治療法を選ぶしかないじゃないかと。「素人の親にそんな選択を強いるのは酷じゃないか」なんて意見もあるが、100%安全な薬はないという事実を患者はもっと受け止めなければならないし、明らかな検証もないんだから医療サイドもそのことをアナウンスして行って欲しい。インフルエンザより薬のリスクが怖ければ、ゆっくり寝て1週間でも10日でも、学校も塾も休ませる選択をすればいいことだと思う。因みに自分の経験では、タミフルの効果は一番ピークの状態を2日ほど前倒しできるのでその間の体力消費を回避でき、予後がラクという感じ。2日を長いと見るか、短いと見るかもそれぞれですよね。家族がかかった時の感染防止には完璧に効果がありました。〜

完璧な薬はなく完璧な医学も、ついでに完璧な医師も完璧な患者もいないのよ。


参考サイト:
http://www.atopymanual.com/steroid/ 
http://homepage2.nifty.com/ayahatori/index.html