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2004年03月04日(木) カラーフィルター
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はっきりと言うが、僕が見てもヨーロッパの街並が決してきれいだとは思えない。
ただそれは現実の世界だからだ。
日本の雑誌なんかで見るような街並は、作り込んでいるので美しく見える。
だから僕の作品でもつくり込んでいくことで、
人々の心に印象を残すものにできるはずである。
それは自分の世界を作り上げることでもある。
レンズを通して見ている自分自身の作り上げる世界である。
僕にとってはそれが映像になる。
たとえばそれはエフェクトでできることであり、パソコンでやる後処理でもあるし、
撮影時にするグラデーション効果でもあれば、フィルターによる効果でもある。
それによっていかようにも変化を加えることができる。
ビデオの画でもフィルムで撮ったような効果が得られる。
「GLI ARTIGIANI」ではメインの色はタングステンの色で決めることにした。
「アメリ」の影響も多少あるが、世界一周から帰ってすぐに見た「トラフィック」の影響もある。
色使いが凄まじくきれいだった。
ブルーが好きな僕だが、オレンジ系で行くことに決めた。
マルコのイメージにブルーがしっくりと来ないのもあった。
色の魔術師ヴィットリオ・ストラーロ氏はオレンジを成長の色と定義している。
それを知って決めたつもりはないが、作品にはピッタリの意味である。
どれだけ自分に納得のできる色のフィルターを手に入れられるかわからなかったが、
とりあえずミラノ唯一のカメラ機材専門店に行った。
希望のモノを手に入れるには大変だ。
言葉の問題もあるが、イタリアの店のシステムは日本と違い、
商品を手に取るには店員に聞いて、
希望のモノを出してもらうことで見ることができる。
フィルターの色一つにしても、自分のカメラの口径を伝えて、
在庫があるかどうかを聞かなくてはならない。
とにかく絶対的に在庫の数が少ないので、なければ注文。
僕のカメラの口径は小さくて特殊なタイプになるようなので、
僕の希望したのはなかった。
他の口径の色のレンズを取り出してくれるが、希望のものはない。
これより薄くて、これより濃いもの。
しかも全部で三種類。
そんなやり取りが何度も続いて、でもある程度妥協しないと、らちがあかない。
とりあえず取り寄せてもらって、カメラを通してみて、
ダメならまた注文してもらおうと思った。
イタリアならこれは使えないだなんて、自分のこだわりを通してもOKなはず。
しっくりと来なかったら自分のこだわりは通してみようと思う。
こだわりを通して店員を困らせた覚えもよくある。
僕にとって映画は自分の思い描いたイメージに、
現実をいかに近付けていくかの作業なのである。
根本的に大切なのは自分のイメージである。
それに合わないものは排除しなくてはならないし、
逆にイメージ以上のモノが出現すれば、取り込んでいく。
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